精霊の守り人

精霊の守り人」を読みました。11歳の王子と30歳の女用心棒の物語です。ストーリーは分かりやすく、文章のテンポもよくて、飽きずに読了。中高生に人気があるとのことですが、大人が読んでも大いに楽しめます。ドキドキしました。情景描写が巧みで、くどい説明はありませんが、一つだけ感激したところがありました。
中島みゆきの唄に、(I love you こたえてくれ)こんな歌詞があります。
プラスマイナス数えながら君を見つめるわけじゃない/いつか実りをもらうため君を大事にするわけじゃない/惚れたほうが損になるなんて取引や投資じゃあるまいし/惚れて嬉しい 単に嬉しい 同じ時代に生まれて嬉しい/
30歳の女用心棒バルサが養父の語った言葉を回想したシーンがあります。中島みゆきの唄を思い出しながら、何度も何度も読み返しました。
「いいかげんに人生を勘定するのはやめようぜ、って言われたよ。不幸がいくらあった、幸福がいくらあった。あのとき、どえらい借金をおれにしちまった。…そんなふうに考えるのはやめようぜ。金勘定するように、過ぎてきた日々を勘定したらむなしいだけだ。おれは、おまえとこうして暮らしているのが、きらいじゃない。それだけなんだ、ってね」(p.246)
良書です。★★★

精霊の守り人 (新潮文庫)

精霊の守り人 (新潮文庫)