独裁力

「独裁力」を読みました。変化の激しい環境下では「民主」より「独裁」の方が「生き残りやすい」との論からはじまります。「独裁」するには、組織を、「コア、コア予備、一般メンバー」の三層に分けること。コアを不安定にし、一般メンバーの動員力を高めるここが重要だと述べています。私の成功失敗の理由がよくわかりました。たいへん勉強になりました。良書です。★★★

組織生き残りのためには、…独裁力が重要なことを理解する。…権力者を有効にサポートするフォロワーシップを育成する。(序)
みなが合意する戦略がいちばん筋が悪い…逆にいうと、一部の人が「これはすごい、これだ!」という反応である一方、多くの人が「そんなの、できないよ」と白けている状態、これが最高の状態です。(p.39)
プロの経営者にとって、あくまで勝つことが目的で、強みを生かすのは手段にすぎません。(p.45)
…マクレガー教授は…人間には二種類あり、…怠けたがり…ほっておくと仕事をしなくなる人→命令や強制でしっかり管理しないといけない(X理論)と…働きたがり…自己実現のために行動する人→自主性を尊重する…(Y理論)…日本ではX理論的な側面は時代遅れとしてどんどん無視されていったのです。…変化の大きい時代をサバイブするには、X理論も依然重要なのです。(p.62)
参謀にとって重要なのはコンセプト力、リーダーにとって必要なのは独裁力のスキルです。(p.65)
すべての組織の権力構造は、次の三つのタイプの支持者の数によって決定づけられる。…・コア支持層 ・コア予備軍 ・一般メンバー…(p.82)
権力者にとっては、自分の直接のサポーターである、コア支持層を常にコントロールすることが重要です。…実力や行動を把握し続けるに、コアメンバーの数は少なければ少ないほど良い。(p.91)
コア層を不断に入れ替え、自分に対抗する反対勢力が生まれる余地をつくらない。(p.97)
第二層の予備軍、インフルエンサーのグループの数を増やすことで、コア・メンバーに「代わりはいくらでもいる」ということを明確に示すことです。…コア支持層を不安定化し、コア支持層を入れ替え、自分の好みで構築することが目的です。(p.101)
…組織に所属する人間にとって人事はすべてなので、恣意的にポストを取り上げたりすると恨みを買います…つまりは余計な恨みは買うな、ということです。(p.123)
…役員クラスについては、直接意思決定するものの、個人的な恨みを買わないよう形式的に自分とは独立した会議に諮ることが大事です。…一般社員については…人事部に任せ、人事には関知していないということいを示すのが得策です。(p.124)
…外部との戦争では、権力基盤があるだけでは勝てません。もう一つの要素、動員力が必要になります。(p.128)
企業トップは、権力基盤を固めるために、コア支持層については、常に人を入れ替えるなど、身分不安定の状態に置く一方、組織の戦闘力を上げるため、第三層である一般社員の支持は、できるだけ多くの人から取り付けておかないといけないのです。(p.136)
大事なのは「権力者に依存することにより、守られている」という感覚をもたせることです。(p.195)
…思うがままに時間と場所を決めることができる力が、本当の権力だということを忘れてはなりません。(p.214)