流通戦略の新発想

「流通戦略の新発想」を読みました。イオンやヨーカ堂しまむらなど10社の考え方が書かれています。ざっと読みましたが、「赤福」の話が興味をひきました。先週のお伊勢参りで「おかげ横町」「赤福本店」を見てきたせいかもしれません。ぜんざいも食べ、お土産も買いました。その後の賞味期限事件を差し引いてもすごい会社であることは間違いありません。備忘します。

流通戦略の新発想 (PHP新書)

流通戦略の新発想 (PHP新書)

おそらく全国展開しても、赤福は多くの消費者に受け入れられるであろう。しかし、そうなると赤福はどこでも手に入るありふれた和菓子となって、商品訴求力は薄れて行く。また逆に、伊勢でしか手に入らないとなると、消費者にとっては手の届きにくいものになってしまうが、名古屋や京都、大阪、神戸の新幹線や近鉄の駅の売店に置いてあれば、伊勢まで足を伸ばさなくても出張のついでに買うことができる。全国販売はせず、かといって伊勢と言う特定の場所でしか手に入らないわけでもない。この絶妙なバランスこそ、赤福が驚異的な販売量を確保している最大の要因ではないか。私はそう感じたのである。(192ページ)
赤福の絶妙のバランスはおかげ横丁の建設にもよく表れている。おかげ横丁ができたことによって、毎年20万人程度だった赤福本店を訪れる人の数が、 300万人以上に急増した。おかげ横丁伊勢参りに訪れる人々の新たな観光スポットとなり、高い集客力を実現することになったのである。…特筆すべきなのはこのおかげ横丁が地域の商店の連合体として形成されたものではなく、赤福と言う1企業が単独で開発したものであると言うことだ。…おかげ横丁と言う集客の場が出来た事は、赤福にとって非常に大きなプロモーションになったことであろう。…つまり、赤福と言う商品にこれまで以上の付加価値をもたらしたもの、それがおかげ横丁であると言えるだろう。 (194ページ)
マス・マーケットに乗って、商店街の人たちは場所の既得権を振り回しすぎたんです。自分のところの利益を主張しすぎたのでしょう。それぞれの店の利益を超越して、もっと一致団結してお客さんの満足を追求していたら、このような没落はなかったでしょうね。実際ここの商店の利益よりも、商店街全体としてお客さんの利益を考えているところは意外とうまくいってるようです。 (199ページ)
松下幸之助さんが赤福の株」もってくれたことがあるんですよ。その時私に言っていたのは「松下電器は家庭の主婦から煩わしさを除去することが狙いなんや」ということです。ユニ・チャームの高原敬一郎会長は私の兄貴分ですが、彼は「女性を性的なハンディキャップから解放することがユニ・チャームの目的や」と言っています。小林製薬の小林一夫社長は私の後輩に当たるんですが、「家庭から嫌な臭いを除去するのが、小林製薬のターゲットだ」と言っています。どれも非常に分かりやすい目標です。だからこそ、お客さんから認められて利益を確保することができるのです。(200ページ)