55歳からのハローライフ

「55歳からのハローライフ」を読みました。久しぶりの小説読みです。幻冬社という出版社は世の中の流れがよくわかっっています。定年期を迎えた人々の不安が高まっていることをよく理解しています。さて、この本は、5つの中編小説で構成されており、それぞれに違う立場の老齢期への移行を物語にしています。離婚した中年女性の再婚問題を描く「結婚相談所」、経済的困窮を描く「空を飛ぶ夢をもう一度」、早期退職を描く「キャンピングカー」、夫婦の絆を描く「ペットロス」、仕事の意味を描く「トラベルヘルパー」の5篇です。
中でも「キャンピングカー」は身につまされる話でした。昔ながらの営業スタイルを疎まれ早期退職させられた58歳の主人公は、キャンピングカーを購入し、妻と日本全国を旅する夢をもっていました。でも、妻や娘に反対され、再就職の活動を始めてみたものの、会社時代の力関係が全く通用しないことに愕然とします。振り返って自分を考えれば、65歳まで今の会社に何とか置いてもらうのが利口な生き方でしょう。でも、悔いが残らないように、次の仕事を始めることが自分らしいとも思えてきます。子供が片付き、定年退職した男が「一振りの刀にも値しない」と女から捨てられた話を思い出しました。

55歳からのハローライフ

55歳からのハローライフ