かしこい人は算数で考える

「かしこい人は算数で考える」を読みました。サイコロ博士、桜美林大学、芳沢光雄教授の最新刊です。ご本人から謹呈いただきました。目からウロコの話が多く、先生の博識に感服しました。「三段論法」、「ジニ係数」や「平均」について安易に発言していた自分を恥じています。まだまだ未熟な自分を再認識しました(恥)。「ゆとり教育」「AO入試」の欠陥については、昨年末、宴席で大いに盛り上がったことを覚えています。良書です、一読をお薦めします。備忘します。

法要に関しては、一周忌は亡くなられてから1年後の命日ですが、3回忌、7回忌、13 回忌などは、亡くなられてから2年後、6年後、12年後の命日のことです。ページ34
少子化の現在にあって、将来の日本を背負う子供たちに対しては、十分な教育環境を整えてあげるべきでしょう。ゆとり教育のように、薄い教科書しか与えず、学校での授業時間数を削るだけ削る馬鹿げた教育制度は、恵まれている層の子供たちは塾、家庭教師、多くの参考書ので満足のいく教育を受けられますが、そうでないその子供たちは十分な教育を受けられないです。その結果経済的な格差が学力の格差拡大を引き起こしたのです。このような教育制度は、やってはならないのです。ページ39
人間は同じ手を続けて出す割合は3分の1よりも低く¼近くしかないということを意味しています。2人でじゃんけんをして「あいこ」になったら、次に自分はその手に負ける手を出すと、勝ちか引き分けになる確率は¾もあって有利という結論を得ます。ページ68
2014年度の私立大学全入学者のうち推薦入試(含むAO試験)による入学者の占める割合は約51パーセントです。要するに、大学の入学者の半分は、形式的な書類審査と面接での受け答えによって合否を判定します。問題は、内申書の信憑性と面接による合否判断には限界があることです。実際、複数の大学で入試に深く関わってきた経験から、内申書ほとんど信用できない。ページ70
主に1980年代にトップクラスの私立大学文系学部から始まった(一般入試における)「少数科目入試」です。この本音の部分は「偏差値のつり上げ」なのです。ページ72
サイコロキャラメルは道南食品から北海道サイコロキャラメルとして発売されています。私はサイコロキャラメル数学教育的な意義を訴える動画を道南食品といっしょに作成し、2016年11月末日、道南食品のホームページ上にアップロードさせていたきましたYouTubeに「芳沢教授のサイコロキャラメル講座」としてアップロードされていますので、だれでも気楽に見て楽しめると思います。ページ119
一歩ずつ組み立てる数学においては、循環論法は絶対に避けなくてはならないものなのです。残念ながら数学科の学生でも、結論を使って結論を導く循環論法に陥った答案を書いてしまうことがあります。実は一般の社会人でも、循環論法を用いた話をしてしまうことがあります。銃眼論法は後で気づくと恥ずかしいことなので注意したいものです。ページ124
読者の皆様、日常生活において「例えば」は、よく用いることでしょう。そのような時に自分が4つの方のうち、どの方を用いるのかを自問すると適切な使い方ができます。ページ130
定言三段論法は定言だけからなる三段論法で、仮言三段論法は仮定や条件を含む三段論法で、選言三段論法は選言を含む三段論法です。世間では三段論法というと仮言三段論法のみを想定する人も多いと思いますが、定言三段論法や選言三段論法も仲間に入ることを留意したいものです。ページ133
私は数学教育において、「何でも1つにしたがるな」ということをよく注意します。その背景にはひとつの間違いを正すと完璧に治ったと安心してしまう受験生や学生を再三見てきたこと。事件や事故の原因を1つにしたがる傾向のあるマスコミ報道。異なる証明方法にははそれぞれの趣があることの理解が進んでいないこと、等があります。ページ150
「問題がなかなか解けないとき、時間を置いてから再び挑んだり、外の易しい問題を解いた後で難しい問題に帰ってきたりする、こういう”あたため”の時間は非常に有効である」「人の精神というものは長いあたための期間全体を通じて意識的に問題を考え続けているということである」です。一晩ゆっくり休んだら翌朝にぱっと良い別の説明方法
がひらめく、そのようなことが往々にしてあると言いたいのです。ページ154
ざっとという意味の「一通り」とたった一という意味の「一通り」を混乱して数学を学んでる人を見かけます。その点についても混乱しないように注意を払ってもらいたいです。ページ159