ぼくと数学の旅に出よう

「ぼくと数学の旅に出よう」を読みました。少し頭は使いますが、平易な本です。数学の歴史やエピソード、これまでの影響、今後の発展について概観しています。指摘の通り数学が美しさを追求していることは何となく気づいていました。数学は、シンプルな式で世界を表現するのを目指しています。アインシュタインのE= MC2は典型です。確率、統計、微積分、今の生活が数学に支えられていることを理解しました。備忘します。

ぼくと数学の旅に出よう―真理を追い求めた1万年の物語

ぼくと数学の旅に出よう―真理を追い求めた1万年の物語

この発見は物の考え方の歴史においては大きな転換だった。もし数学の誕生はいつですかと尋ねられたら、ぼくはこの発見のときを選ぶだろう。この瞬間、数は「数自体による数自体のための存在」になったのだから。より高いところから現実を観察するために、現実を離れたのだ。そう考えると、これまでの事は全て、妊娠期間中の出来事といえる。ページ38
測量士たちが使っていた、もっと手際の良い便利な方法がある。…1番有名なのは3対4対5の直角三角形。それを縄で作るには、まず12個の等間隔ができるように13個の結び目をつくる。…するとほらまるで魔法のように3倍の辺と4倍の辺が直角を作り出すんだ。ページ50
テアイテトスが特に興味を持ったのは完全に対象な多面体、つまり各面の面積と各多角形の角度が全て等しい多面体。そして彼は、驚くべき発見をする。完全に対象の多面体は5種類しかなく、他には存在しないと証明したのだ。ページ64
負の数の登場によって足し算と引き算の意味は大きく変わった。これは、「0.5を掛ける」と 「2で割る」ことになるのと全く同じ理屈。というのも、「負の数を足す」事は「正の数を引く」ことになり、この2つの計算においては、「足す」と「引く」という言葉自体の意味が失われているからだ。ページ130
天文台通りを行き来している車を見て、今やたくさんの車にGPS機能が付いている。宇宙から4つの衛星を使って追跡し、車の現在地をいつでも特定できると言う機能。この機能を使うには、位置測定の方程式を解く必要がある。そこで頼りとされているのは未だに三角比なんだ。ページ150
逆転のきっかけを作ったのがフランス人のルネ・デカルトだった。彼は軸と座標を使う方法によって幾何学の問題を代数化する、シンプルでわかりやすい方法を考えついた。ページ207
世界の数式化は、まばゆいほどの効果をもたらしてくれた。とはいえ、次のような質問には面食らうだけできっと答えられないだろう。数学言語は、どうしてこれほど完璧に世界を書き表すことができるのか? それがいかに驚くべきことがをきちんと理解するためにニュートンの公式に戻ってみよう。万有引力の力の強さは、2つの掛け算、1つの割り算、1つの平方を使った式で表される。こんな単純な式で表すことができるなんてものすごくラッキー!ページ228
ここで、最も有名な式を見てみようE= MC2。アルベルトアインシュタインが考え出したこの式は、物体の質量とエネルギーが等価であることを示している。…とにかく一般的に、宇宙の仕組みについて最も魅力的で最も奥深いものを表すこの原理が、たった5つの記号の式で表されるって言う点だけを考えよう。全く驚きじゃないか。ページ229
それ以降、数学者たちそもそもの原点である物理学的応用の現場で、次から次へと問題に取り組み始めた。それもそのはず、微積分は単なる道具どころか、掘り下げれば掘り下げるほど興味深く、それにあまりにも美しかったからだ。そして、いつまでも続く卓球のラリーのようなところがあるけれど、微積分のさらなる発展は、ほんの少しずつではあるものの、天文学のような他の分野に応用されだしたんだ。ページ236
中でも特に第一巻の362ページにある一節だ。というのもそこには、彼らが算術を再構成し、ついに1 +1 = 2の定理にたどり着いたことが記されているんだ! ページ292
では数学者はと言うと、時々、真理と美の間に違いが存在することを忘れているかのように見える。同時に両方を追求するからだ。そして両方を区別なく見つけ出す。真理と美を、有益なものと無益なあものを、よくあることとありえないことを混ぜ合わせるんだ。まるで、無限のガンバスの上でたくさんの色を混ぜ合わせるように。ページ305