99.9%は仮説

「99.9%は仮説」を読みました。10年前の再読です。なぜか、もう一度読まなければならないと思いました。専門家同士が仮説を振りかざして議論しているのを日常的に見聞きする機会が増えたためです。科学では「仮説は反証によって覆される」ことがよくわかりました。絶対的な真理はないことも理解しました。相手の仮説を理解することが、議論のはじまりだと納得しました。
ニュートン力学アインシュタイン力学との違い、ホーキング博士の考え方がおぼろげながらわかりました。それにしても、飛行機が空を飛ぶことも、生物の誕生が海からということも、ただの仮説にすぎないとは驚きです。備忘します。

今日常識だと思っているものが明日天才学者の出現によって間違いであると判明するかもしれないのです。つまり、常識と言うやつは意外にもろいものです。…そういった常識のことも仮説と言うことにしたいと思います。常識は仮説に過ぎないのです。ページ57
どんな実験データ、観測データも、実験者観測所の頭の中にある仮説の中でしか解釈されないわけです。そういう意味で、「裸の事実」なんてものは存在しないわけです。だからデータが仮説を倒すことはできないんですよね。「仮説を倒すことができるのは仮説だけ」なんです。ページ92
科学の定義はたったこれだけ。反証可能性、つまり、反証できるかどうかと言うことです。…どういうことかと言うと、もしその理論がうまくいかないと言うような事例が1回でも出てしまえば、つまり反証されれば、その理論はダメになってしまうと言うことです。ページ133
数学は証明することができるんです。数学は概念ですからね。全てが頭の中の出来事です。ですから、いちど証明してしまえば、それで決着です。でも、科学はそうではありません。科学は頭の中にある仮説がどのくらい頭の外、つまり物理世界と一致するかを問題にします。…平たく言えば、理論に反する実験や観察ができたらその理論はダメだと言うことを潔く認める。それが科学だって言うんです。ページ135
複数主義ともいいますが、要は、全体を統一する絶対的な唯一の仮説がないと言う意味で、仮説と仮説が常に共存しているのです。どっちが正しいかではなく、両方とも正しいと言うのが、相対性理論の根っこの考え方なんです。ページ188
ホーキングは実在と言うものに対する感覚が希薄で、実証できればそれでいいと思っているから、ある意味当てはまればいい、うまくいけば良いとしか考えていない。整合性がとれれば良くて、実際に整合するための対象が実在しようがしまいが知ったこっちゃないんです。ページ213
ニュートン力学における質量は普通普遍的に変わらないものですが、相対性理論になると、質量が消えてエネルギーに転換されるんです。それが、あの有名ないいE= mc2と言う式です。…ニュートン力学ではエネルギーをどう表すかと言うとE= 1/2mv2と言う式なんですね。…どういうことかと言うと、物体が動くことによってエネルギーが生じるということなんです。逆に動いていない物体にはエネルギーは生じないというのがニュートン力学の仮説です。それに対してアインシュタインは、止まっていても、物体はエネルギーを持っていると考えたわけです。それがE= mc2の意味なんです。ページ221
世の中を相対化してみると、それまで自分が採用してきた頑なな仮説の下では全く見えていなかったことが見えてくることがあります。ページ228
間主観性と言うのは、要するに、「相手の立場になって考えてみる」というだけのことなのです。ページ233