日本人として知っておきたい 世界激変の行方

「日本人として知っておきたい 世界激変の行方」をKindleで読みました。トランプ政権成立直後に書かれた国際政治学者の著作です。それから9ヶ月経って、著者の意見が正しいことがよく分かります。稀代の戦略家トランプは意図して発言しています。米国の基軸貨幣死守の意図、中露同盟、ドイツの立ち位置を理解しました。北方領土問題は歴史の問題です。歴史を学ばない国は滅びます。備忘します。

経済的にもアメリカはじめ先進国での 「格差 」がもはや許容できないほどに広がり 、民主主義の社会に 「圧制 」を呪う怨嗟の声が溢れる 。そして 、いつ果てるとも知れぬテロとの戦争が世界に広がり 、難民が世界中に溢れ 、不安と反感が地に満ちる 。ここまで矛盾が噴出してくれば 、世界はもはや耐えられず 、大きく軋みだす 。この状況下に 、次の三つの勢力が生まれるのである 。すなわち 、オ ールド ・グロ ーバリズム 、アンチ ・グロ ーバリズム 、ネオ ・グロ ーバリズムという三勢力である 。ページ5%
…私が最も注目した CFRの報告書の一つは 、アメリカの対北朝鮮政策に関するものであった 。同報告では 、まず北朝鮮とのあいだで 「六カ国協議を再開し 、北朝鮮に核開発の放棄を促す 」とある 。ここまでは耳にタコができるほど繰り返されてきた話である 。ところが驚くべきことに 、次いで 「もしそれに応じなければ 、北朝鮮への空爆を行なうべし 」と書かれていた。ページ8%
、この豹変ぶりこそが 、トランプが稀代の戦略家であるとともに 、究極の現実主義者 、ニヒリストであることを象徴的に示すものであった 。ページ12%
「理念とは 、それが現実の要請に即するときにおいて普遍的理念となる 」 。アメリカ人のこの発想は 、たんなる偽善や豹変 、変節とは異なる 。そしてここが 、われわれにとって最も理解することの難しい 「アメリカの本質 」そのものなのである 。ページ36%
中国の対外工作により 、戦後日本の外交努力が突き崩されていき 、日本が長年を費やして育ててきた多くの 「親日国 」が瞬時にして 「親中国 」になっていく様は 、残念であるとともに 、さながら目まぐるしいオセロゲ ームのようだ 。ページ74%
ある意味では 、中国とドイツの連携こそが 、日本を戦争に引きずり込んだともいえる 。じつは 、戦前の日本が日独伊三国同盟を結んだ大きな動機の一つも 、ドイツを中国から引き離すことにあった 。ページ79%
いまや東アジア情勢とヨ ーロッパ情勢は 、 「中露同盟 」の成立と 、その陰で進行するグロ ーバルな 「パワ ー ・プレイヤ ー 」としてのドイツの対露 ・対中提携への底流での動き 、この二つを媒介として完全に連動しだしたユ ーラシア規模での 「世界新無秩序 」へ向けて進行中である 。ページ82%
まずは「大きな底流を見つける」。そのうえで、「しっかり準備して、できるだけゆっくり行動する」、他方、「交渉ごとはつねに粘り強く主張する」。世界において謙虚の美徳など通用しない。ただし、大きなものが動くところでは、「あるところで潮目を見て潔く譲歩する」。ページ83%
…ここで念頭に置くべきが 「中東情勢の不安定化によりテロが多発する」「ロシアの民主化が失敗する」「中国が日本と敵対する」「アメリカが衰退する」「ヨ ーロッパ統合が失敗する」ページ88%