恩師

「原爆を許すまじ」(作詞 浅田石二・作曲 木下航二)という歌があるそうです。聞いたことはありません。この作曲者の木下航二氏は数年前に亡くなりました。作曲をしていたのを朝日新聞の死亡記事ではじめて知りましたが、実は私の出た高校の倫理社会の先生でもありました。物静かで淡々とした方でとても素敵な先生でした。キルケゴール死に至る病」の冒頭「人間とは精神である。しかし精神とは何であるか?精神とは自己である。しかし、自己とは何であるか?自己とは、一つの関係、その関係にそれ自身に関係する関係である。………」の私の拙い解説を心から褒めてくれました。

彼が最後の授業で黒板に「安心立命」と大書し「哲学ということばは皆にアレルギーを起こさせます、だから考え方ということばに置き換えてもいい、人は安心立命することが幸せの基です。他人に何か言われても自分は自分だといいきれるような考え方で生きなさい。」17才の春でした。

2004年2月5日