アンドロイドは人間になれるか

パソコンが、ケータイが、インターネットが、世界を変えたように、次は、ロボットが世界を変えると納得しました。「自分は何者なのか、人間とは何者なのかを問い続けることが、唯一、人間がこの世に生きる意味だ。…考え続ける限り、人間は、他の動物とも、ロボットとも違い違う存在でいられるはずだ」もうこの本は哲学書です。いろいろなことが腑に落ちました。私が何故、神社にこだわるかも理解できました。また私の次の仕事は、ロボット関連事業しかありえません。備忘します。

ぼくはいつか人間をつくれると思っている。人間を工学的に実現することはおそらく可能なのだ。だれでもがこのロボットは心を持っていると思うロボットが実現できればそれは人間と一緒である。そのロボットはすなわち人の気持ちを考えるとはどういうこととか、そして人間とは何かという根源的な問いに対する答えとなる。ページ15
ロボットは人類の死生観を変えアイデンティティの概念を変える。そして、宗教のありようも変えてしまう。ページ119
人間は非人間的なもの、偶像に憧れる。不老不死を求め、アンチエイジングを試みる人間は、人間になりたいわけではない。ロボットになりたがっているのだ。ページ126
だれでもアンドロイドを残せるようになれば、一足死後の世界を信じなくてもよくなるようかもしれない。人は生きる意味を求め、存在不安にさえなまれ、そして人によっては死後の世界を信じる。死後に自分の価値を残したい、亡くなった後にも誰かに評価して欲しいと言う思いがあるからだ。だれでもアンドロイドを残せるようになれば、自分の最盛期の似姿、語り、動き、記憶や思想…そのほとんどを半永久的に保存することができる。古来より人が抱いてきた、不老不死の命への憧れが解決できる。アンドロイドという形で、人が死ぬことなく、永遠に生きられる存在になる。ページ131
20世紀までは人間がコンピューターをハッキングし、プログラムを改造したり、誤認させることで「人間が機械を騙す」ことが行われてきた。21世紀は、認知科学や心理学を応用して作られた機械が、人間の思考の偏りや先入観を利用することで、「機械が人間を騙す」ようになる。僕たちはそのことに備えなければならない。ページ153
…ある一定以上の年齢の人間は、今更作る側には行けなくなる。ただ、それまでの人生で積んできた経験を作る側に生かすことができるだろう。特定分野の専門知識や職人芸を提示可能な問題に置き換え、ロボットが社会の利便性を高めることに貢献することは十分にありうる。ページ203
…自分は何者なのか、人間とは何者なのかを問い続けることが、唯一、人間がこの世に生きる意味だ。それ以外に意味はない。食べる、寝る、セックスーーこれらは人にしかできないことではない。他の動物にもできる行為に人間固有の価値は宿らない。ページ221
…こんなふうに僕は、死ぬまで考え続けるだろう。皆さんもそうあってほしいのだ。考え続ける限り、人間は、他の動物とも、ロボットとも違い違う存在でいられるはずだ。ページ223