「トコトンやさしいロボットの本」を読みました。現状把握の第一歩です。一番オーソドックスな本から始めてみました。「鉄腕アトムが好き」だけではビジネスはできません。産業用ロボットの実力とサービスロボットの未熟を確認しました。網羅的、基本的で良い本です。備忘します。
- 作者: 日本ロボット工業会,日刊工業新聞社
- 出版社/メーカー: 日刊工業新聞社
- 発売日: 2015/11/27
- メディア: 単行本
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どんなに複雑なロボットでも、その仕組みは「センサ系」「知能・制御系」「駆動・構造系」という3つの要素技術の組み合わせになります。ロボットはそれぞれの目的や用途に合わせて最適化されているため、見た目は全然違うものになっていますが、内部に目を向けると思ってた以上に似ていることがわかります。ページ1
最も上位の区分となるが産業用ロボットと非産業用ロボットです。この分け方は他の多くの資料でも共通していますが、ただし、名称は若干異なり、経済産業省の資料では非産業ロボットを次世代ロボットと呼ぶことがあります。これは既に実績のある産業ロボットに続く新たなビジネスの創生を期待しているということでしょうが今のところあまり一般的ではないようです。このため本書では多くのロボットメーカーなどの例にならい非産業用ロボットを「サービスロボット」ということにします。ページ12
現在、ロボットの中で大きな市場確立しているのはが産業用ロボットです。代表的なのはアーム型ロボットと呼ばれるもので、人間の腕や手に類似した機構を持つだけのシンプルなマシンマニピュレータですが、「教えた動作プログラムとして記憶して再生する」というティーチングプレイバック機能によって多彩な働きができるため、溶接や塗装、加工組み立て、搬送といった生産工程の幅広い分野で活躍できるようになりました。ページ14
ロボットは多様な技術を必要とする総合システム製品であり、このため多様な分野の企業が生産に携わって来ます。このロボットを導入することで新しいビジネスを創出できる産業も業界も多いと期待されており、上流から下流まで大きな広がりがあるのです。ページ24
ロボット用の内界センサーで最も重要なのがエンコーダです。中でもモーターの回転角度や速度を検出するロータリエンコーダがなければロボットはまともに動くことすらできません。このため、正確なアーム操作が必要な産業用ロボットでは、エンコーダの性能が製品の品質を大きく左右します。今後、多目的に使われるサービスロボットがたくさん開発されていくようになれば、より複雑な動作パターンが求められますから、エンコーダによる制御技術はますます大切になってくるはずです。ページ36
ものを持った時に感じる重さや、掴んだ時の力加減は、以前は触覚の一部のように思われてきました。しかし実際には皮膚ではなく筋肉への反力によるものであることから、最近は、「力感」と呼ぶ独立した感覚だと考えられるようになっています。そしてロボットにどうやって力感を与えるかは、開発上の大きなテーマでした。ページ38
ロボット動かすアーキテクチャーであるアクチュエータとして最も広く用いられているのはサーボモータとステッピングモーターです。ただしこの2つは分類上の位置づけが少し異なるので注意してください。ページ50
今後人間と同じサイズの生活支援ロボットを家庭に普及させようとしたとき、一番大きなネックになってくるのが電源の供給かもしれません。30分程度しか動けないバッテリーだけでは不十分なので、何らかの方法で頻繁に充電するか、ワイヤレスで電力を供給し続けるシステムが必要です。ページ62
ロボットに必要な3要素の技術は、それぞれがトレードオフの関係にあります。センサを最大限に生かせば知能制御系の負担が増え、その結果、電力消費も増えて駆動できる時間が短くなるのです。したがって要素ごとの部分部分最適ではなく統合システムとしての全体最適が優先されます。ページ64
未来のロボット技術を考えていく上で重要なキーワードの1つにロバスト性があります。外的要因による変更内部で阻止する仕組みや性質などを意味する言葉で、ロボットにおいては「周りでどんなことが起きていようとも対応できる性能」だと考えてください。ページ146
…さらに企業がロボットを導入する場合にアドバイスをしたり、経営効果の考察をするロボットコンサルタントといった仕事も必要になってくるでしょう。またロボットの新たな用途や利用技術を開発するロボットビジネスクリエイターという職業が生まれるかもしれません。新たなロボットの登場は社会そのものを大きく変えていきます。それだけに、時代の変化を敏感にとらえて新たなビジネスを生みだす事ができる人こそが時代の成功者になれるのです。ページ152