「好き嫌い」と経営

「好き嫌いと経営」を読みました。14名の成功経営者との対話本です。「好き嫌い」をキーワードにインタビューしています。すこし腹が立ちました。有名人同士の褒め合いのように見えます。成功した人はくせ者であることは十分承知しています。普通の人は真似はできません。追い打ちをかけるような内容は読者に元気を与えません。それほどうまくいっていない私の嫉妬かもしれませんが…。好感を持てたのは、日本電産永守重信さんと大前研一さん、石黒不二代さんは嫌な女だなと思いました。備忘します。

「好き嫌い」と経営

「好き嫌い」と経営

  • 作者:楠木 建
  • 発売日: 2014/06/27
  • メディア: 単行本

柳井正「より多くの価値を生むか、より多くの人に良い影響与えるかどうか、そこが仕事と趣味の分かれ目でしょう。やっている本人が満足するしないというのはビジネスではないと思います。」ページ49
柳井正「一番嫌いなのは偽善者でしょうね。口で言うこととやることが違う人、最後までやり抜かない人、自分のためだけにビジネスをやる人。そういうのは嫌いですね。」ページ57
楠木「世の中には人にカバンを持ってもらいたい人も、それがモチベーションになって偉くなる人もいっぱいいますけどね。」新浪剛史「そういう人を偉くしてはいけないと思います。」ページ94
佐山展生「私が大嫌いなのは、偉そうにする人です。本当に偉い人は、偉そうにしない。中途半端な人が偉そうにする。組織とかポジションとか、何かに乗っかっているだけの人なんかですかね。しかし、自分の力で何かをやってきたすごい人は、ちっとも偉そうにしない。」ページ126
楠木「組織でトップに入ると、周りが注目する。その注目が光になって集まり、自分はそれを反射しているだけだ。いくら偉くても自分からは光が出てないが、光が集まれば自分から光が出ている気になる」ページ131
松本大「要するに、小さなトルクで、無理して頑張って回転を挙げて何かをやるというのが好きで、もともと大きなトルクで、力があるのを、余裕でコントロールっていうのは嫌い。だから大手金融機関は嫌いです。ページ142
藤田晋「もう大人になりましたが、若い頃は今に見てろよ!と言うのはありましたね。」ページ160
楠木「情報と注意は完全にトレードオフですね。情報の数が多いと、ひとつひとつに注がれる注意は減りますからね。」ページ163
藤田晋「僕ももともとは任せて伸ばすと言う方針でした。これと思った分野に新しい人をアサインして、投資をして、やらせる感じで。でも、最終的には自分自社メディアを持つというのが1番大事な目標だったのに、そればかりは人に任せていたら立ち上がらなかった。任せているのか、無責任なのか分からなくなってきて、やはり無責任になっていたのでしょう。それで全て僕が責任を持ってやるようにしたら、伸び始めた。ページ160
重松理「でも、そういう雰囲気がないのは、今まで基本的には好きなことしかやってこなかったからではないでしょうか。好きなことをやっていたら、いつの間にか売り上げがついてきた、というのが正直な感想です。」ページ193
重松理「仕事に関して付け加えると、本当に幸運だったと思います。他の人からも、運がよかったねとよく言われるのですが、本人が1番自覚している。自分の運の良さを確信していると言って良いでしょう。だから他の人より努力してきたとは思っていません。楠木さんも私のことを運がいいと思うでしょう。」「楠木さんが思ってるよりも実際は何倍も運がいいんですよ…。」ページ205
出口治明「…この世界を理解し、どこを変えたいと思うか思うのか。それは世界を経営すると言うことです。でも世界は広いので、自分がその一部分を受け持つしかない。それがサブシステムです。置かれた状況の中で常に世界を理解し、何を変えたいと思い、何をして生きるのかということ。つまり、世界経営計画のサブシステムを生きることが、人間にとって一番大事だと思い、言い続けています。ページ217
出口治明「もう1冊あげるとしたら『クワトロガッツ天正少年使節と世界帝国』ですね。読み始めたら途中で止められなくなって朝まで読んでしまいました。ページ223
江畑哲也「営業といっても、ルートセールス的な販売がしたいとなると違ってきますが、新規開拓といった本来の営業は、非常にクリエイティブな仕事だと思います。30歳になったあたりのサラリーマンが、今まで営業しかやってこなかった、将来のキャリアが不安だといった悩みを聞きますが、私に言わせれば何の問題もありません。ページ265
江畑哲也「私の場合は、さらにビジネスプランの数字が良いかどうかを気にします。数字の良さと言うのは、そのビジネスが世の中のために役立つかどうかだと私は考えています」ページ266
大前研一「何社かを競合させて選ぶと言うのは私に言わせるとでかい態度ですよ。コンサルタントと言うのは金を払って雇うものではありません。ある意味でブレーンのパートナーじゃないですか。寝ても覚めてもその会社のことを考えることです。社長よりもその会社のことを考えないと、良い答えなんか出てこない。それなのに金を払って雇っているという意識の相手とは絶対にうまくいかないから、そう感じた瞬間私はやらない。やれるわけがありません。ページ328
経営者にとって1番重要なものを1つだけ上げろと言われたら、「人間に対する洞察」というのが僕の答えです。ページ375