利益の方程式

「利益の方程式」を読みました。10年以上前に一度読みました。何故か気になって再度読んでみました。勝間さんの初期の著作です。その後の著作より謙虚で読みやすく感じます。「利益= (顧客当たり単価−顧客当たり獲得コスト−顧客当たり原価) ×顧客数」この方程式はとても良く出来ています。本書の経営アドバイスは平凡ですが、この式を応用することでおのおのの会社で個別の行動指針がいくつでも思い浮かべることができます。神田昌典氏の「ダントツプロジェクト」の内容に通じるものがあります。価格設定の際の顧客心理についても知識の深さを見て取れました。備忘します。

追いつかれるまでの時間が短くなってきている今、その時間内にいかに稼ぎきるかが重要。したがって、利益の源泉が、他社に追いつかれるまでの時間的な余裕だと考えた場合に、以下の2点を管理することが、企業が利益を上げる際のカギになります。①追いつかれるまでの時間に、なるべく売り上げを最大化し、費用を最小化すること②相手に追いつかれないよう、品質、原価、販売チャンネルなどでなるべく参入障壁を作ること。ページ29
勝間式の「利益の方程式」とは次の通りです。
利益= (顧客当たり単価−顧客当たり獲得コスト−顧客当たり原価) ×顧客数これだけです。ページ53
すなわち、顧客単価は利益の源泉であり、いかに同じ顧客により高い値段のものを買ってもらうか、より多くのものを買ってもらうか利益が上がりやすくなるのです。ページ57
最も儲かる商品は、顧客コストがほとんどただの商品です。すなわち、一度買った人が必ずリピーターになってくれて、かつ、その商品の良さを勝手に口コミで他の人に伝えてくれるような商品が儲かります。ページ59
よって、マーケティングでは、最初は顧客単価が高い層にまず少数の高い商品を売って、そのお金で最初の開発費や販売費を回収した後に、徐々に顧客単価を下げた商品を販売し、より広い顧客層にアクセスしながら、残りの利益を回収すると言う方法とります。ページ102
顧客獲得コストを下げる最も簡単な方法は「商品が良いこと」です。当たり前のようですが意外と見落とされがちです。ページ13 2
いずれにせよ、原価にはある程度の適正幅があり、あまり小さくても品質に影響するし、多すぎると儲からなくなるわけです。したがって、逆に顧客原価を引き下げるときに私たちが考えるべきことは、いかに品質に影響させないようにしながら、1%でもいいので無駄なコストを除いていくかと言う工夫になります。ページ175
それでは、ここで1つクイズの答えを考えてください。私たちコンサルタントの間では「粉ものは儲かる」というのが常識になっています。…答えは、「小麦粉は世界中の食品の中で、カロリー単価が最も安い商品の1つ」だからです。ページ182
したがって、原価管理の中で最も効くものを1つだけあげろといわれたら、「なるべく人を少なくすること」に尽きると思います。もちろん、人にノーハウを残すの組織の中でとても大事です。しかし、人はやや少なめなめな位な方が、一人一人がストレッチするし、能力も伸びやすいのです。ページ199
通常、多くのサービスでは単一の商品サービスだけを提供しているのは稀で、複数の商品サービスを提供しています。その時に、顧客数から見たときに次の場合分けが重要です。①顧客数の間口を広げるためのサービス(客寄せビジネス)
②顧客単価を広げ、儲けるためのビジネス(受け皿ビジネス)
いきなりの受け皿ビジネスだけを用意して成功する場合もありますが、①ど組み合わせた方が顧客の広がりには期待できます。ページ239
したがって、利益を増やすコツをまとめると次のようになります。
【原則1】 顧客単価を1円でも馬鹿にせずにコツコツと引き上げ、戦略のない値下げはしない
【原則2】 しっかりと顧客獲得コストを計算して、口コミ等なるべく顧客獲得コストが安くなるチャネル手法を活用する
【原則3】 コスト改善を地道に行って、かけるべきところにはコストをかけながら、全体コストを引き下げる
【原則4】 顧客の普及率に伴ったステージを意識し、市場と対応しながら、施策のメリハリをつける ページ260