SDGs

SDGs」を読みました。副題は「持続可能な開発目標」です。SDGsの17の目標アイコンを確認しました。世界規模の大きな目標の提示です。その先は国家や自治体が、自ら現実的な目標を立てて実施していくという構造です。この大きな目標は全世界の国家にとって異存はなく、ようやく国連でまとまった成果です。部分最適全体最適を阻害するような施策や行動を抑止する非常に重要な考え方、取り決めだと思います。環境や教育に関するアワードがこのSDGsに強く影響していることも知りました。細かな目標で言えば、ソーラーシェアリングもその一環と言えます。目標7「すべての人々が、手ごろな価格で信頼性の高い持続可能で現代的なエネルギーを利用できるようにする」がそれにあたります。備忘します。

SDGs(持続可能な開発目標) (中公新書)

SDGs(持続可能な開発目標) (中公新書)

SDGsとは何か?」この質問に対して、筆者は「SDGsは未来の世界の形だ」と答えることにしている。ページ1
SDGsには細かな仕組みが設定されていない。こういうと仕組みが大きな特徴だと言っている事と矛盾すると思われるかもしれないが、実は細かい仕組みがないことが大きな特徴なのである。つまりSDGsでは従来、国際レジームの中で考えられていたような、国内でSDGs実現に向けた政策を実施する際のよりどころとなるようなルールが、国際的に定められているわけではない。ページ11
フォアキャスティングは、どうしても現場の延長線上に将来を考えてしまい、今と違う社会構造や産業構造への変化や、変革的取り組みを取り組みにくいシナリオアプローチである。これとは対照的に、(SDGsは)未来の目標を描き、その実現を前提として、現在の世の中にさかのぼってシナリオを書くのがバックキャスティングである。そこでは目標設定が大前提となる。ページ13
SDGsの目標は、むしろ変革やイノベーション創出へ向けた「達成すべき方向の提示」として考えた方が良い。ページ14
2つ目の大きな特徴は、「測る」ことである。SDGsは目標とターゲットのみの体系である。ページ16
目標ベースのガバナンスが自由な取り組みを促進するものだとすれば、むしろより重要になってくるのは独自指標である。大事なのは、自治体間や国家間で比較することではなく、目標にどれだけ近づいているかを「測る」ことであり、それこそがSDGsに関する計測の真髄だと言える。ページ18
SDGsは17の目標を持つ。17と言う数は国際交渉の結果決まった妥協の産物であるが、結果としてかなり包括的に、現実と未来の社会の骨格を形作る目標群を含んでいる。ページ29
SDGsの時代に入り、持続可能な開発も、経済、社会、環境が3つの柱とする表現から、これらの3側面の統合が重要だと言う表現に変わってきた。ページ60
新定義では、持続可能な開発とは「現在及び将来の世代の人類の繁栄が依存している地球の生命維持システムを保護しつつ、現在の世代の欲求を満足させるような開発」のことである。ページ62
目標2:安定確保と栄養状態の改善を実現し、持続可能な農業を促進する。ページ69
目標7:すべての人々が、手ごろな価格で信頼性の高い持続可能で現代的なエネルギーを利用できるようにする。ページ85
再生可能エネルギーを効果的に利用するためには、電池の利用も重要になる。…再生可能エネルギーは、送電線を使わないで分散的に利用することもできるため、送電線のインフラが整備されていない地域や、発展途上国におけるエネルギーへのアクセス向上という点からも期待が高まる。ページ87
目標17:実施手段を強化し、持続可能な開発のためのグローバルパートナーシップを活性化する。ページ118
リーマンショック以降、企業の価値が、金銭的な価値で測ることのできる財務的要素だけでなく、お金では測れない財務的な要素によって決まるようになっているという変化がある。つまり、社会課題を解決することも、企業の価値自体を高めることにつながっているのであろ。ページ126
SDGsはこの考えをもう一歩進めた「四方よし」である。これは、近江の国だった滋賀県が県を挙げてSDGsに力を入れ始めた当初に、筆者が滋賀県の方々と話した際に、実際会話の中で登場した考えである。従来の「三方よし」には足りなかった考え方があった。「未来よし」である。それを補ってくれるのがSDGsだと言うのである。ページ129
計測の課題を含みながらも、低金利時代、そして少子高齢化時代において、SDGs金融の動きは促進されている。低金利の時代において、不安の残る定年後の資金を確実に確保しておく手段として、短期の投機的な投資よりも、長期的かつ確実で、子や孫の世界に良いものを残しておけるSDGsとして運用を図りたいという個人投資家も増えていくであろう。ページ169
注目すべきは、SDGs達成に向けた取り組みに対して、若い人たちが興味と関心を強く持ち始めているという点である。筆者の研究室の学生に限らず、大学生の社会課題解決へ向けた関心の高さには目を瞠るものがある。ページ223