バカと無知

「バカと無知」を読みました。以前、衝撃を受けた「言ってはいけない橘玲氏の著作です。「人間とは何か」を現代の脳研究から解説しています。私の周りにはバカが少ないので、私の認識が間違っているのに気づきました。「日本人のおよそ3分の1は日本語が読めない」そうです。協議にバカを入れると結果は悪くなるそうです。マスコミやSNSは「芸能人と不道徳」が大好きなだそうです。「言ってはいけない」こと満載の抱腹絶倒の書物です。
ギスギスした世の中に惑わされず、他者に「不道徳」のレッテルを貼って安易に批判せず、嫌なことがあっても「そのうち良いこともあるさ」と楽天的に考えると幸福度はずいぶん高くなるとのことです。備忘します。

アメリカの調査では、従業員のおよそ3人に1人がハラスメントの被害を受けた経験があるという。だが、困惑するのは、同じ調査で、パワハラの加害者になったことがあると答えたのはわずか0.05%だったことだ。ページ20
ネットニュースで一番アクセスを集めるのは「芸能人と正義の話題」だという。メディアが「こんなことが許されるのでしょうか」といつも騒いでいるのも、SNSで不道徳な者が晒し者にされるのも、現代社会にとって正義が最大の娯楽(エンターテイメント)だからだ。ページ26
ギスギスした世の中に惑わされず、他者に「不道徳」のレッテルを貼って安易に批判せず、嫌なことがあっても「そのうち良いこともあるさ」と楽天的に考える。少なくとも研究では、これであなたの幸福度はずいぶん高くなるらしい。ページ33
徹底的に社会的な動物である人間は、不正を行ったと主観的に感じる相手に制裁を加えると脳の報酬型が刺激され、快感を得るように進化の過程で設計されている。ページ38
馬鹿の問題は、自分が馬鹿であることに気づいてないことだ自分の能力についての客観的な事実を提示されても、馬鹿はその事実を正しく理解できないので自分の評価を修正しないばかりか、ますます自分の能力に自信を持つようになる。まさに「馬鹿につける薬は無い」のだ。ページ47
…認知能力の低いものが自分を過大評価する一方、認知能力の高いものが一貫して自分を過小評価していることだった。なぜこんなことになるのかは、人類の進化の歴史から説明できるのではないか。ページ53
1つは、集合地を実現するには、一定以上の能力を持つ者だけで話し合うこと。これなら欠けた知識を持ち寄って、それを1つにまとめることで、個人の判断より正しい選択をすることができる。もう一つはそれが無理な場合は話し合いを諦めて、優秀な個人の判断に従った方が良い選択ができること。これはある種の貴族政だ。ページ58
ワンマン企業が成功するのは独裁者の意思決定によってバカに引きずられる効果を避けられるからなのかもしれない。ページ65
結果をまとめると、次のようになる。①日本人のおよそ3分の1は日本語が読めない。②日本人の3分の1以上が小学校3、4年生以下の数的思考力しかない。③パソコンを使った基本的な仕事ができる日本人は1割以下しかいない。ページ81
脳は上方比較を「損失」、下方比較を「報酬」と感じるように進化の過程で設計されている。上位のものを引きずり下ろす事は、脳の報酬型を刺激し自尊心を高める効果がある。ワイドショーのコメンテーターと一緒に「義憤」に駆られ、ネットのコメント欄に皇族や婚約者母子への誹謗中傷を書き込む事は、ものすごく気分が良いのだろう。ページ102
ここからわかるのは、子供たちは公平に敏感だが、それを意識するのは、自分の取り分が他の子より少ない、損をしたときだけだと言うことだ。ページ113
…自尊心を高めるメッセージは、次の試験の成績をさらに悪くして落第生にしてしまったのだ。ページ103
この一連の実験は、なぜボランティアに人気があるのかを教えてくれる。善意の名を借りて無力な人間をサポートする側に回ることは、自尊心の低い人にとって、それを引き上げる最も簡便な方法なのだ。これも言ってはいけないの1つだろうが、ボランティアに関わったことがある人は、うすうす気づいているのではないだろうか。ページ157
興味深いのは、「高齢者に対して偏見を持つと早死にする」というデータがあることだ。その理由は誰もが歳をとるからで、老人に対してネガティブな決めつけをしていると、自分が老人になった時に、その偏見が自己実現してしまうのだ。ページ198
その結果はというと、「妻の浮気は妻の外交性が高い時に統計的に有意で、夫の浮気は妻の神経症傾向が高い時に有意」となった。ページ199
強く願うと夢は叶わなくなるというのでは希望はないが、その程度の努力で叶う夢など大した事ないと思えば、少しは気が休まるのではないだろうか。ページ201
一連の実験は、金持ちは利己的、貧乏人は利他的と言うことではなく、誰もがお金によって自由になりたがっていることを証明したのだ。ページ207
現代の進化論ではヒトが内集団に対して優しくなることと、外集団に対して残虐になる事は、同じコインの裏表だと考える。ページ229
近年の遺伝人類学の大きな発見は、私たちの祖先がネアンデルタール人と交わっていたことだ。サハラ以前のアフリカ以外の系統の全てのヒトは、ネアンデルタール人の遺伝子をわずかに持っている。そればかりか、ユーラシア大陸の東にデニソワ人という別の先住民がいて、やはりサピエンスと交わった後に絶滅していたことがわかった。ページ230
近年の脳科学の最も大きな発見の1つは、脳には記憶が保存されていないことだ。ページ257