ビジネスで一番、大切なこと

「ビジネスで一番、大切なこと」(ヤンミ・ムン著 ダイヤモンド社刊)を読みました。 帰宅前に数ページ目を通すつもりが、約3時間、真剣に読んでしまいました。マーケティングの本なのですが、これまでのマーケティング本の違和感を見事に説明しています。いわゆる「差別化」では成功しない、カテゴリー内の差別化戦略はすでに破綻していることが良くわかりました。ヤンミ・ムン女史は本当に率直な人だと思います。頗る好感がもてます。テクニックやノウハウは書いてありません、人間は気分屋で、捉え所のない複雑なものだという前提で考えており、断定はひとつもありません。久々の行動変容を起こさせる良書です。自分のビジネスについて深く考えさせられました。グーグル、アップルの成功には理由がありました。私が両ブランドを好きな理由がわかりました! また、IKEASWATCH、ハレーのケーススタディなども卓越しています。 備忘します。


ビジネスで一番、大切なこと 消費者のこころを学ぶ授業

ビジネスで一番、大切なこと 消費者のこころを学ぶ授業


私たちが越智いている「競争」の正体

私たちの目を奪うアイデア・ブランド

私たちは、人間らしさに立ち返る

…消費者がブランドロイヤルティを持たなくなっている…チャネルの分断化、消費者の移り気など色々挙げられたが…(p.66)

市場が成熟しすぎると…競争が高じて過剰な活動が繰り広げられると、消費者の目には違いがわからなくなる…カテゴリーもまた、全体としてのアイデンティティはぼやけてしまう。(p.67)

さらに顕著な傾向として、10年前と現在の顧客ベースを比較すると、非常に多くのカテゴリーで、熱心な愛好家が減少し、ブランドにこだわらないセグメントが増幅している。(p.72)

…差別化を実現するためには、競争ではなく、競争からの完全な脱却が必要なのだ。(p.80)

グーグルのようなブランドを、リバース・ブランドと呼びたい。アイデア・ブランドの中でも非常に特殊で、顧客が期待している拡張への流れを意図的に断ち切る。他社が競争に欠かせないとみなしている便益の提供を控えようとしている。(p.89)

…ひるまないブランドが強い愛着を得られる…わたしたちに手間をかけさせることも、そっぽを向かれることも恐れない。誰にも妥協しないし、大衆に迎合するために全力を尽くすこともない。…傲慢だが…相当おしゃれでもある。(p.122)

ダヴ…「リアル・ビューティー・キャンペーン」はきわめて例外的だ。現実離れしたスーパーモデルの美の神話を暴露し、普通の女性の魅力を賞賛する。…(p.187)

…常に100%完璧でなくてはならないとは思っていないからさ。僕のゴールが完璧であるなら、僕は世界にはほとんど貢献できないだろう。その代わり、僕がやろうとしているのは、僕が見つけられる一番面白い2%を探し出すことだ。…秘訣はね、誰も目を向けないような面白いことに絶えず興味を持つことだ。(P.158)

…自滅的な競争サイクルから抜け出せなくなっている。もっとはっきり言えば、競争力が私たちを殺そうとしている。(P.160)

競争相手を無視しろといっているのではない。消費者と同じ目で見ることが重要なのだ。消費者の目にはぼんやりとカテゴリー全体が見えるだけで、個々のブランドは映っていない。この不鮮明さから抜け出すこと。それが「違っている」ということなのだ。(P.163)

…アイデア・ブランドに共通点があるとしたら、その差別化戦略がいわゆる市場調査に基づいていないということだ。(P.166)

…消費や行動、文化の一貫性が、私たちの周囲で崩壊している(P.169)