男の隠れ家 2018年7月号

「男の隠れ家 2018年7月号」をビューンで読みました。特集は「全国山城紀行」です。巻頭の記事が舘ひろし「人生終わらず、回り続ける」です。6月に公開される「終わった人」の話です。タイトルを聞いて断ろうと思ったが台本を見て出演を決めたそうです。原作ではカプセルホテルで「棺桶みたいだ」と書いてあったのを、館さんが「落ち着くなあ」と感想を述べたところ、監督に採用されたとのエピソードが語られています。定年と熟年夫婦の関係も描かれている映画「終わった人」は定年後の人必見だと思います。
特集の中でたくさんの城を紹介しています。備中松山城岩村城伊予松山城…唐沢山城の13の山城を詳しく解説しています。伊予松山城だけ訪れたことがあります。昨年の春、四国出張のついでに見物しました。街中を見下ろすような威容、リフトで登ってみれば白壁の美しいフォルム、堅牢な石垣、下界の賑わい、素晴らしい観光になりました。戦国時代、加藤嘉明が縄張りして、完成は蒲生氏だったようです。(ページ66)
他に小さな記事ですが、「観光列車15選」の中で「ながまれ海峡号」が取り上げられています。函館駅木古内駅間の観光列車です。残念ながら函館に住んでいながら乗り損ないました。きれいな写真付きの記事です。(ページ85)

男の隠れ家 2018年 7月号 No.262

男の隠れ家 2018年 7月号 No.262

お金2.0

「お金2.0」を読みました。「好きなことの熱中している人ほどうまく行きやすい世の中に変わっていきます。」(ページ219)と書いてありました。先日読んだ修身教授録には「自分のやりたいことをすぐにやる。…そしてもう一つは、夢中になるということです。夢中になることの出来ない人間はどうもダメなようですね。」とありました。80年以上前の本と相通じる意見です。私の生き方が間違っていないかもしれません。社会で生きることが「お金」中心であることは間違いありませんし、お金がなければ会社を継続することもできません。しかし著者はその黄金律が社会の変化に応じて変わりつつあると指摘しています。お金という貨幣価値だけでなく別の価値が力を持ち始めているという指摘です。「資本主義」から「価値主義」への転換です。人と人との繋がりや時間が価値として登場してきています。稼がない男は無価値、定年後は余生とうい考え方が一方的な見方であることを熱く語っています。さらに好きなことに熱中することが価値だと断じています。勇気づけられました。気分がよくなりました。構想は大胆に、やることは地道にすすめていきます。備忘します。

お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book)

お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book)

現実はおおよそ3つの異なるベクトルが併存し相互に影響を及ぼしており、それらが未来の方向性を決めている。…「お金」「感情」「テクノロジー」の3つです。ページ22
現代社会の欲望を大別してみると、①本能的欲求 ②金銭欲求 ③承認欲求の3つにわけられます。ページ44
誰か特定の人が必死に動き回っていないと崩壊するような仕組みでは長くは続きません。…この持続的かつ自動的に発展していくような「経済システム」には…5つの共通点があることに気づきました。①インセンティブ ②リアルタイム ③不確実性 ④ヒエラルキー ⑤コミュニケーション の5つです。ページ51
つまり、今の時代の経営者には、意識的にせよ、無意識的にせよ、この5つの要素を理解し、よくできた「経済システム」を作るプロであることが求められています。ページ70
脳は、一言で言えば非常に「退屈しやすい」「飽きやすい」性格を持っています。…反対に脳は予測が難しいリスクのある不確実な感興で得た報酬により多くの快楽を感じやすいことが研究でわかっています。ページ84
人間は他社との比較の中で自分が不幸か幸福か、優れているか劣っているかを判断する相対的な生き物です。…他人より比較優位にありたいという欲望が、人間が継続的な努力をする原動力となり、これを集団の全員が思うことで全体が発展していくことができます。ページ87
…まとめると「絶えずエネルギーが流れるような環境にあり、相互作用を持つ動的なネットワークは、代謝をしながら自動的に秩序を形成して、情報を内部に記憶することでその秩序を強固なものにする。ページ96
…これから10年という単位で言えばそれは「分散化」です。…既存の経済や社会は…「中央集権化」によって秩序を保ってきた。ページ112
分散化が進んでいくと情報やものの仲介だけでは価値を発揮できず、独自に価値を発揮する経済システムそのものを作ることが出来る存在が大きな力をもつようになります。ページ114
そこでKikはアプリ内で活用できる独自の仮想通貨を発行してコミュニケーションを起点に独自の経済圏を作ることを計画しています。ページ125
世の中に膨大なデータが溢れたことで進んでいく「自動化」と、ネットワーク型社会に移行することでおこる「分散化」という大きな流れは、今後の10年を考える上で非常に重要になります。ページ135
ものを扱わないネット企業で、財務諸表上の価値として認識されないもののひとつが「人材」、もうひとつが「データ」です。ページ150
今後は、可視化された「資本」ではなく、お金などの資本に変換される前の「価値」を中心とした世界に変わっていくことが予想されます。ページ163
価値主義で扱う価値とは、①有用性としての価値だけでなく、②人間の内面的な価値や、③全体の持続性を高めるような社会的な価値も、すべて価値として扱う仕組みです。ページ169
既存の経済ではマネーキャピタルを増やすことがうまい人(経営者・投資家)が大きな力を持っていましたが、これからはソーシャルキャピタルを増やすのに長けた人も大きな力を持つようになると思います。ページ178
企業の安定性は「収入」以上に「資産」にかかっていることは経営者であればよく理解していると思います。資産という点では貴魚に比べて個人は圧倒的に不利です。ページ196
VALUは…個人の価値をトレードできるマイクロトレードサービスです。ページ201
人生の意義や目的とは欠落・欲求不満から生まれるものですが、あらゆるものが満たされた世界では、この人生の意義や目的こそが逆に「価値」になりつつあります。ページ217
価値主義の世界ではどんな働き方や生き方がスタンダードになっていくでしょうか。答えは非常にシンプルで「好きなことの熱中している人ほどうまく行きやすい」世の中に変わっていきます。ページ219
金銭的なリターンを第一に考えるほど儲からなくなり、何かに熱中している人ほど結果的に利益を得られるようになります。ページ222
これまでの経済はいかに役に立つかを価値の前提にしてきて、使用価値のないものに価値を認めてきませんでした。…しかし、共感・熱狂・信頼・好意・感謝のような内面的価値は、SNSといったネットワーク上で爆発的な勢いで広まっていきます。ページ223
…重要なのは「個人の価値」です。個人の価値を高めておけば、それをお金に変換することもできますし、お金以外の他の価値に変換することができます。ここでいう価値とは、①スキル・経験のような実用性としての価値、②共感や好意のような内面的な価値、③信頼・人脈のような繋がりとしての社会的な価値、のいずれも含みます。ページ229
これからの競争は、自分なりの独自の枠組みをつくれるかどうかの競争になります。枠組みの中での競争ではなく、枠組みそのものを作る競争です。ページ231

週刊文春 5月31日号

週刊文春 5月31日号」を読みました。購入したのは1年ぶりです。芸能関係のスクープには辟易しており体臭が求める覗き趣味に迎合しすぎで好きな雑誌ではありません。コラムやエッセイには読み応えのあるものもあり、以前は頻回に購入していました。今回購入した理由は、「日大アメフト内田監督、14分の自供テープ」を読みたかったからです。テレビでもその概要は伝えられていましたので、読後、それほどの衝撃はありませんでした。よくありがちな保身オヤジの放言録でした。その中に見過ごせない1点がありました。「実は井上コーチはフライデー13年9月6日号『名門・日大アメフト部を襲ったゲイビデオ騒動』報じた張本人だという。現役時代に井上コーチが出演したビデオの存在が外部からの通報で発覚したのです。…本人が出演を認めたにも関わらず、内田氏は。出演は他人であると結論付け、大学側も不問に付した…」(ページ24)これが先日の緊急記者会見で内田前監督をかばう井上コーチの行動の原点ではないのかと思ってしまいました。それにしても日大ブランドは地に堕ちた感があります。回復には10年を超える歳月が必要でしょう。寄付も激減するでしょう。学生、教員、卒業生、お気の毒です。

ラノベ古事記

ラノベ古事記」を読みました。古事記の上巻、海幸山幸までの訳です。ライトノベル仕立てにしていますが、内容は原文にかなり忠実です。よく研究されています。感心しました。
たくさんの古事記の漫画や映像を見ましたが、やはり若い人から見ると今ひとつしっくりしないところがあると思います。しかしこのライトノベル古事記は「萌え」だとか「どや顔」とか、さらに擬態語が秀逸で分かりやすく、たいへん読みやすい! またゲームをやっている人間たちも分かるようにRPGのキャラを巧みに駆使して古事記の世界を表現しています。シーンが思い浮かびます。正直、私、引き込まれました。素晴らしい!

ラノベ古事記 日本の神様とはじまりの物語

ラノベ古事記 日本の神様とはじまりの物語

高田明さん

高田明さん生出演」を「NHK午後ラジ」で聴きました。実兄から久しぶりにメールをもらいました。そこに2018年5月21日放送 NHK 午後ラジ「あの高田明さん! 生出演!」を「聴き逃しサイト」で聴いてみたらとのことでした。高田明さんとは、元ジャパネットタカタの社長で、現在、サッカーJリーク、ヴィフォーレ長崎の社長です。一年で一部昇格、黒字化という離れ業を実現しました。兄からは「とてもポジティブで前向きの話で元気をもらいました」とのコメントがありましたので早速聴いてみました。はじめに経歴やラジオとの関わりの話がありました。サッカー成功に関しては、「愛と平和と一生懸命」が大切。私の力だけでできるものではなく、たくさんの人たちの力でうまくいったと謙虚に語っていました。選手は特別の存在ではなく、ファンと同じ目線で活動するべき、相手チームやサポーターをリスペクトするべきと強調していました。
以前「人は人のために生きて人」と言う言葉に感動したそうです。「ポジティブに、くよくよしないで、初心を夢見て」との話がありました。高田さん、67歳のときに、「あなたはあと50年生きられるよ」と言われて、117歳まで一生懸命頑張ろうと思っているそうです。
ジャパネット社長を辞めるときに将来のことは全く考えていなかったそうです。サッカーチームの社長をやるとは全く考えていなかったそうです。「今を一生懸命いきていれば、次の課題は自然に生まれてくる」。あまり未来の事ばかり考えても、自分で変えられないことも多く、変えられないことを悩んでも仕方がない、一生懸命、今を生きていれば、新しいミッションが生まれてくると考えているそうです。「自分がやり遂げたとか、完成してるとは全く思っていません、まだまだこれから精進していきたい。地方創生の肝は”伝える”こと。ただ”伝える”と”伝わった”とは違うことを忘れてはいけません」と。
肉体が衰えることも十分認識した上で、自分の使命を謙虚に果たそうとしている高田明さんに感激しました。「今だ! 今だ! 今だ!」が耳を離れません。よい話を聴きました。兄さん、ありがとう!
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日経PC21 2018.6月号

「日経PC21 2018.6月号」をビューンで閲覧しました。特集は「Windowsイライラ不満大解決」です。ページのわりには内容は薄いのですが、「なるほどね」と思った指摘と解決策が三つありました。
・ロック画面に表示されるメッセージが煩わしい。→設定アプリから「Windowsスポットライト」をオフにする。(ページ18)
・通信速度があまりにも遅すぎる。→①WiFiに接続する機器の数を減らす。5〜10台までに抑える。 ②WiFiルーターを再起動する。 ⓷終端装置(光回線サービス)を再起動する。(ページ36)
・ユーチューブの画質や広告に幻滅。→拡張機能「エンハンサーフォーユーチューブ」で改善できる。導入すると広告をブロックしたり、画質を固定したり、映像を見やすいモードで再生できる。(ページ37)

日経PC21 2018年 6 月号

日経PC21 2018年 6 月号

修身教授録

森信三「修身教授録」を読みました。衝撃的な内容です。戦前の本ですが、全く時代を感じさせない内容です。 40年前に読んでおきたい本でした。「人生は二度ない」をあらゆる角度から論じています。私の「生き方」や「哲学」は間違っていたのかもしれません。 5年ほど前から本棚に飾ってありましたが、一念発起してとても良かったと思います。1日に2、3講、約一月かかって、ゆっくり読みました。二宮尊徳を読みたくなりました。備忘します。

修身教授録 (致知選書)

修身教授録 (致知選書)

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そこで諸君は、さし当たってまず「一日読まざれば、一日衰える」と覚悟されるのが良いでしょう。ページ65
そもそもわれわれは、真の確信なくしては、現実の処断を明確に断行することはできないのです。ところが真に明確な断案というものは、どうしても通りに通達することによって、はじめて伝えられるものであります。そこで偉大な実践家というものは、一般に大いなる読書家であり、さらには著述をもなし得る程の人が多いと言えるわけです。ページ66
福島政雄先生の愛読書 万葉集論語真宗聖典、マーカス・アウレリウスの随想録、芭蕉絵詞伝附句集及文集、モンテーニュ随想録抄、益軒十訓上下、玉勝間、ベスターロッチーの隠者の夕暮れ、プラトン饗宴、ルソーのエミール ページ68
…身内のものについて人に話す場合には、敬称付けないのです。例えば諸君が自分のお父さんのことは、私の父と言ってお父さんはとは言わないのです。つまりさん付けにしないのです。それから君とか僕とか言う言葉は、同輩又は目下の者に対する言葉で、自分より目上の人に対しては、使わないのが普通です。ページ75
読書の順序は、まず第一には、当代における第一流の本を読むこと、その次は古典です。当代の一人者級の人の世界を知らないで、古典を読むというのは、私は考えものだと思います。ページ138
人間というものは、自分のかつての日の同級生なんかが、どんな立派な地位に着こうが少し慌てず、悠々として、60以後になってから、後悔しないような道をあゆむ心構えが大切です。知事だの大学教授だのと言ってみたところで、60過ぎる頃になれば、多くはこれ恩給取りのご隠居さんに過ぎません。ページ140
読書は、いわば鉄砲で的を狙うようなものです。しかしいかにねらいは定めても、引き金を引かない限り、一向恐ろしくもないでしょう。引き金を引くとは、実行ということです。そこでどんな本を読んでも、実行の心がけのないような人間は恐れるに足りないのです。ページ141
仕事の処理場の心がけと思う言うべきものを、少しくお話ししてみたいと思います。それについて大切なことは、先にも申したように、仕事の処理を持って、自分の修養の第一義だと深く自覚することでしょう。…さて次に大切なことは、このような自覚に立って、仕事の本末軽重をよく考えて、それによってことをする順序次第を立てるということです。すなわち一般的には大切なことを先にして、比較的軽いものを後回しにするということです。…次に大切なことは同じく大事な事柄の中でも、大体何から片付けるかという前後の順序を明らかにするということです。この前後の順序を誤ると、仕事の処理はその円滑が妨げられることになります。…さて次にはこのように名弁された順序に従って、まず真っ先にかたずけるべき仕事に思い切って着手するということが大切です。このとにかく手をつけるということは仕事を処理する上での最大の秘訣と言って良いでしょう。 …それ故ここには、「まず着手する」ということが仕事の処理場なぜ重大な意味を持つのか、詳しい説明はその方へ任せるとして、次に大切なことはいちど着手した仕事は一気呵成にやってのけるということです。同時にまたそのためには最初から最上の出来栄えを、という欲を出さないということです。すなわち、仕上げはまず80点級というつもりで、とにかく一気に仕上げることが大切です。ページ 178
かように考えてきますと、ものに形を与える、ものを取りまとめておくということが、いかに大いなる意味を持つものかということを、今さらのように感じるのであります。ページ187
そこで、このような上位者に対する心やの根本を一言で申しますと、全て上位者に対しては、その人物の価値いかんにかかわらず、ただその人が自分より上だという故で、相手の地位相応の敬意をはらなければならないということでしょう。すなわちこの場合大事な点は、相手の人物がその真価とか実力の点で、自分より上に立つだけの値打ちがあろうがあるまいが、そういうことのいかんにかかわらず、とにかく相手の地位にふさわしいだけの敬意を払うようにということです。ページ211
用務員などに対しても、心のうちでは深く思いやりながら、しかもそのために私情に溺れて隙間を見せ、その結果、相手を甘えさせるというようなことに陥らない注意が大切でしょう。この辺も我々の修養上、一つの呼吸があるとも言えましょう。ページ224
何よりもまず己の務めに打ち込むことから始まるといってよいでしょう。すなわち誠にいたる出発点は、何よりもまず自分の仕事に打ち込むということでしょう。ページ253
したがっていまこの二度とない人生を、できるだけ有意義に送ろうとすれば、我々としては何よりもまずこの人生が二度と繰り返しえないものであり、しかも自分が既に人生のほぼ3分の1とも言うべき20年近い歳月をほとんど無自覚のうちに過ごしてきたということが、深刻に後悔せられなくてはなるまいと思うのです。ページ305
真実の教育というものは、自分の失敗とつまずきを、あとに来る人々に、再び繰り返さずに忍びないという一念から起こると言っても良いでしょう。したがって真の教育者の生まれ出るためには、教育者は何よりもまず自分の過去の過ちに対して、痛切な反省とざんげを問わなければならないでしょう。ページ312
そもそも人間の偉さというものは、だいたい2つの要素から成り立つと思うのです。すなわち1つは、豊富にして偉大な情熱であり、次には、かかる豊富にして偉大な情熱を、徹頭徹尾浄化せずんばやまずという根本的な意志力であります。ページ336
初めにも申したように、知識技能の方面では、一般的には短所を補うというよりも、むしろ長所を伸ばす方法を考えるのがよろしかろうと思いますが、これに反して、精神上の問題なりますと、長所を伸ばそうと考えるよりも、むしろ短所のぞくように努力する方が、よくはないかと考えるわけです。それというのもそれがそのまま長所を伸ばす故にほかならぬからでありますページ352
実際にこの2人の偉人には、いろいろと共通点が見出されます。ことに論語と二宮尊はその趣において、よほど似通うところがあると言えましょう。ページ356
全て実行的な事柄というものは、もちろん多少の例外はあるとしても原則としては「一気呵成」ということが事を成す根本と言って良いでしょう。ページ372
試みにそのひとつ2つを申してみますと、第一は、自分のやりたいことをすぐにやる。つまり自分が本当にしたいと思ったことは、何者をなげうってでも直ちにそれをやる。例えば本を読みたくなれば、たとえそれが真夜中でも、すぐに飛び起きて読むといった調子です。どうもこの辺に、偉大なる人に共通した特徴があるようです。そしてもう一つは、夢中になるということです。夢中になることの出来ない人間はどうもダメなようですね。ページ385
人間は、この暑い寒いと言わなくなったら、そしてそれを貫いていったとしたら、やがては順逆を超える境地に至るといってもよいでしょう。ページ454
昔は剣術とか柔術とか言いながら、武の道を体していましたが、現在では、剣道とか柔道とか言いながら、帰って技の末節に関わって、道を忘れる傾向があるようです。ページ457
そこで人間は、この世の中を床に過ごそうと思ったら、なるべく人に喜ばれるように、さらには人を喜ばすような努力をすることです。つまり自分の欲を多少切り詰めつめて少しでも人のためになるように努力するということです。ページ462
自分の位置を人と比較せぬがよし。一切の悩みは比較より生ず。比較を絶したる世界へ躍入するとき、人は初めて卓立して、いわゆる、天上天下唯我独尊の極致となる。ページ488
そこで私はそこで私は、この「ねばり」というものこそ、仕事を完成させるための最後の秘訣であり、同時にまたある意味では、人間としての価値も最後の土壇場において、この「ねばり」が出るか否かによって決まるといっても良いと思うほどです。ページ493
ですから諸君らにも、もしその日の予定がその日のうちに果たせなかったら、自分の一生もまたかくの如しと考えられるのが良いでしょう。そこでまたわれわれは、死というものを、一生にただいちどだけのものと考えてはいけないと思うのです。それというのも実は死は小刻みに、日々刻々と、我々に迫りつつあるからです。ページ504
50を過ぎてから、自分の余生の作り方について迷ってるようでは、悲惨と言ってもまだ足りません。そこで一生を真に充実して生きる道は、結局今日と一日を、真に充実して生きる外ないでしょう。実際一日が一生の縮図です。…論語にある「行って余力あらば以て文を学ぶべし」というのは1つの良い工夫かと思うのです。ページ505
すなわち何よりも自分の仕事を果たす。そしてその上でなおゆとりがあったら、そこで初めて本を読む。これ実に人生の至楽というものでしょう。ここに「行って余力あらば」と言ってあるのは、自分のなすべき仕事ほったらかしておいて、ただ本を読んでいればそれで勉強や学問かのように誤解してる人が世間には少なくないようですから、そこで実行ということを力説するために「行って余力あらば」と申されたわけで、実際には仕事をなるべく早く仕上げそして1十分の余力を生み出して大いに読書に努めるべきでしょう。ページ506
今これを一言に約するとしたら、諸君はすべからくこの人生の二度ないことを知って、我が身がいかに微々たるものといえども、真の国民教育者たらんとの「志」を打ち立てることのほかないでしょう。そして着手点としては、限りなき読書と日々の実行とが大切だということに帰するわけです。ページ524