盛大な人生

「盛大な人生」を読みました。成功の秘訣は「心の持ちよう」だと述べています。欲望を否定せず、楽しめる欲望が成功の秘訣だと述べています。また、ヨガの先生らしく「…心のスクリーンに想像というありがたい力を応用して描けば、…強固な信念となって、その信念がいつかは具体化する」と述べています。中村天風は、明治の生まれで1968年、91歳でなくなりました。wikiによれば「右翼団体玄洋社社員、大日本帝国陸軍の諜報員、日本の実業家、思想家、ヨーガ行者、自己啓発講演家。天風会を創始し心身統一法を広めました」とのこと。松下幸之助や浅野宗一郎が教えを乞うていたそうです。
講演の言葉(述)なので、繰り返しはありますが、たたみ掛けるような説明、説得でわかりやすいです。宗教的、直感的で、ついていけないところもありますが、傾聴したところも多々あります。病気になったときには必ず再読します。備忘します。

盛大な人生

盛大な人生

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本当の欲望と言うのは楽しい欲望のことなんだ。欲しがれば欲しがるほど楽しいのは本当の欲望なんだ。だから、すべからく楽しめる欲望を炎と燃やしなさいと言いたいんであります。そうすると、その欲望も燃やしゃあ、燃やすほど、何ともいえない、人生が豊かなものになるんだよ。これが天風哲学の主張する、燃やしなさい、という欲望なんだ。ページ16
箱根山、駕籠に乗る人担ぐ人、してまた、草鞋を作る人」どんなに人間、偉くなったからとて、自分一人で生きられるもんじゃないんですよ。ページ36
嘘でもいいから、嫌な奴が来たら余計、「よく来たね、待っていたのよ」位のことを言ったらどうだい。言っちゃいけない事は、本当でも言っちゃいけないんだよ。ページ40
とにかく人の世のため、いやでも誠と愛というものが出てくる思いやりの状態のままで生きてごらん。…もっとはっきり言っちゃうと、あなた方の本当の心の姿で生きればいいだけなんだよ。ページ43
義務だとか責任だとかなんて、ややこしい事は考えないで、自分の楽しいことをやるんだよ。それが一番楽しいんだから、本当に楽しいんだから。やってごらん。楽しいことを知らないで、やらずにいたから、わからなかった。今まで楽しからざることを楽しいと履き違えていたからいけない。さぁ、今日から本当に楽しめる人生に生きるあなた方になってくださることを申し上げて、終わります。ページ45
インド3ヵ年の難行苦行を積んでいるうちに、ハハア、こうすると信念がだんだん強くなるな、ということを私はキャッチした。想像力を応用して、心に絶えず念願することを映像化して描くことによって、信念と言うものが確固なものになるのです。これが信念の渙発法なんです。ページ62
さぁ、それがわかったら、なるほど、と今すぐ実行なさいよ。同じことを絶え間なく、はっきりした映像にして心に思考させれば、…心のスクリーンに想像というありがたい力を応用して描けば、そして期せずして強固な信念となって、その信念がいつかは具体化する。これが宇宙に存在する証拠として動かすべき断然真理なのであります。ページ84
…常に気高い標準を持って、しかも人生理想を変更しないで心に描いている人は、遅かれ早かれ、その理想実現になし得る資格を自分で作っている人なんだ。ページ118
かわしきれない運命を「天命」という。…しかし絶対に逃れあたはざる天命的なものばかりが人生におそいかかるんじゃない。多くの人が苦しみ悩む、いわゆる運命は「宿命」なんだ。宿命と言うのは、逃れられるもの。絶対的でない、相対的なものなんだ。ページ127
だから、今日1日、「怒らず、恐れず、悲しまず」といつも言ってるじゃないか。この「怒らず、恐れず、悲しまず」こそ、正真正銘の心の世界なんだ。ページ130
あえて断る必要ないけれども、理想はできるだけ真実なものでなければならない。空想であっちゃいけないよとにかく理想と空想と混同してしまうことがある。ページ141
運命の悪い人は、運命の良くなった状態を心に描きながら、自分が成功し、自分が本当に理想を貫徹した時、必ずや人の世のためになることをするんだ。ページ166
人間と言うものがこの世の中に生きていくのには、何をおいても心と体を別々に考えちゃだめだぞ。文明の民族の一番悲しいミステイクは、生命を考えるときいつも体ばっかり考えている。ページ197
私の人生観はね、よろしいか、「苦しみを忍ぶとか、あるいは辛さを忍ぶというような、忍苦忍耐よりは、自己の命にできるだけ喜びを多く味わわせて人生を生きる、そこに本当の生きがいがある」というのが私の人生観なんだ。ページ205
さらに人を喜ばせて、自分がまた、その人と共に喜ぶと言うことが一番尊いことなんだ。ページ236
「お座敷小唄」あるもんね。「お声聞きたかった電話あり、お顔見たけらりゃ写真ある。これだけ便利な世の中に、会わなきゃできないことがある」ってね。笑い事じゃない。ページ269
人生の本当の幸福というのは、病と煩悶と貧乏、この3つがないことだ。そういう不幸は自分以外の人の身の上にはあるかもしれないが、もう私にはないんだと。ページ285
もっとわかりやすい言葉で言えば、できてないことをできた格好にしまうんだ、頭の中で。そうすると人間が人間らしく本当に生きられるよ。ページ293
さあそこで、まず真剣に考えなきゃならないのは、これはもう普段私が決まり文句で言っている言葉ですが、人生は一回がぎりということです。とかく今の世の中の人々は、何か自分の人生というものが何遍も繰り返されるもんであるかのごとき、気楽な希望を持ってる人がいやしないかと思うんだ。ページ336

HGウエルズ・ジュールベルヌ

「HGウエルズ・ジュールベルヌ」(週間朝日百科 世界の文学19)を読みました。私の好きなSFジャンルの巨人です。科学と文学の幸福な結婚が、お二人の晩年には仲違いしたようです。科学の発達が人類を幸福にしないというビジョンです。タイムマシンは実現していませんんが、潜水艦も、月旅行も実現しました。想像力というのはすごいものです。タイムマシンの結末が「行ったきり戻らなかった」とは知りませんでした。一番好きなSFは「海底2万マイル」です。
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オスカーワイルド

「オスカーワイルド」(週間朝日百科 世界の文学18)を読みました。「ドリアングレイの肖像」「サロメ」作品名は知っているものの内容をはじめて知りました。世紀末のデカダンスの賛美かと思っていましたが、その破綻を象徴する作品です。「…この作品は、耽美主義、快楽主義について精密に語ると同時に、その危険性をも提示している…(3-229)」両作品とも映画で鑑賞するほうがよいかもしれません。
それにしても、ユイスマン、シュニッツラー、ソログーブ、知らない作家ですが、短評を読むと実に興味深いです。読む機会は永遠に訪れないと思いつつ…
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好きの設計図

「好きの設計図」を読みました。ひょんなことから手に入れた本です。会社を「好き」になって貰うことがビジネス成功の秘訣だと言っています。多分、本人のビジネス拡張のために出版された本です。社員募集コンサルのための顧客集めの本です。内容、間違ってはいませんが、今の私には当然すぎるし、必要も感じないというのが実感です。備忘します。

ブランディングの究極の目的は相手に好きになってもらうことである。ページ10
何もせずに相手が自分のことを理解してくれるとなどという事は無い。誰かにこれを知らしめたい、このことだけはわかってほしいと思うなら、どうやったらそれが伝わるのか必死で考えることだ。ページ27
胸を張って自慢できるような、会社や社長に関する情報を網羅したいのであれば、たくさんの人にそれを読んでもらえる工夫や、読みたくなる仕掛けを作れば良いのだ。ページ30
原理原則を発見すると言うやり方は、後にビジネスをやるようになってからも非常に役立っているページ54
簡単に言えばうちはこれを大事にしていますというものが、お客さんや市場にきちんと伝えられれば良いのである。ページ75
その思いはその言葉で本当に伝わるか、一度自分たちの経営理念や会社案内、宣伝コピーなどを検証してみると良いだろう。ページ89
まずは興味を持たせること、その会社の社史を知りたくなるような打ち出し方が重要なのである。ページ113

日本の農山村どう再生するか

「日本の農山村どう再生するか」を読みました。2年ほど、ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)の普及に取り組んでいます。その際に、日本農業の、過去、現状、未来を理解する必要に迫られて読むことにしました。経済合理性からは逸脱しても、食料の確保、国土の保全、自然環境保全のために農山村を維持する必要を理解しました。書中、バブル期のリゾート開発を総括して「農村が自己否定を迫られるのは、わが国の農業観、農村観の底の浅さに原因がある」と激しい言葉で注意喚起しています。耳が痛い話です。備忘します。

いかなる農山村も、自己完結ではありえない。農山村は「自立」はできなくても「自律」はできる。「自律」、つまり外部からの制御から脱して自分の立てた規範に従って行動することが大切だ。(はしがき)
農業による環境への脅威には供給サイドの変化だけではなく需要サイドの変化も加わって、農業生産、流通及び消費の全過程を通じる構造的な要因がある。ページ39
広域行政は、戦後一貫して政府政策の路線であったばかりでなく、今日特にその制度的な整備が図られてきている。したがって広域行政の中で農山村対策をどのように位置づけるかは、検討すべき重要な課題である。ページ50
農山村が従来持っていた役割が次々と否定され、他の選択肢を絶たれた農山村は、一斉にリゾート開発につき動かされていた。農山村は、もはやリゾート開発対象地としての位置づけしか与えられなかったかのようである。このように、農村の位置づけがいとも簡単に変えられてしまい、農村が農村としての自己否定を迫られるのは、わが国の農業観、農村観の底の浅さに原因があると考えられる。ページ66
過疎対策事業費は、二期にわたる20年間に約25兆円に上った。これにより過疎地域の社会資本整備が進んだ事は、国土庁発行の「過疎白書」に示されている通りである。しかし、これを持って過疎問題が解決したとか、解決の展望をつくりだしたとは言いがたい。ページ88
中山間地域の有用な社会的機能として、①安全で新鮮な食料の国内需給上の機能、②国土の保全、管理上の機能、③健全な国民生活に欠かせない自然環境保全上の機能、等の重要な役割を持っている。ページ99
山間地域の維持発展を図る政策としては、①農山村の自前の発展努力、②農山村と都市との連携、③国家財政による中山間地域維持政策、の3つの政策を組み合わせる必要がある。ページ154
地域の産業を振興する方法として、次の三つがある。…①今ある産業・企業を育て、大きくする…②地元にない産業分野を、地元の力で作り出す…③域外から企業を誘致する…ページ163
内発的発展の重要なポイントは、住民の参加による地域の自己決定権である。人間性の発達が、欧米の近代化モデルを克服する目標の1つであれば、当然、村民が地域を知り、そこに参加して、自然と人間、人間と人間の関係を高めていくことが、地域振興の手段だけでははなく目標に位置づけられることになる。ページ169
こうした内外情勢によって農産物の国内価格の大幅な引き下げが不可避となるような場合、日本農業の存続のためには、価格支持に代替する農業支持方式として、財政負担等の何らかの直接支払制度を採択さざるを得ない事態は将来十分に予想するのではなかろうか。ページ285
日本の農山村、とりわけ中山間地域は、忍び寄る崩壊の崖っぷちに立たされた感もある。人口動態の自然減少と高齢化の進行、集落崩壊がその兆候である。ページ305
農山村の発展進行を進める政策の原理原則として、それまでの内発的発展に関する所学説を整理し、内容の補足を行ってまとめたものである。①環境生態系の保全及び社会の維持可能な発展を政策の枠組みとしつつ、人権の擁護、人間の発達、生活の質向上を図る総合的な地域発展を目標とする。②地域にある資源、技術、産業、人材、文化、ネットワークなどのハードとソフトの資源をおいては、複合経済と多種の職業構成を重視し、地域産業連関を拡充する発電方式をとる。…③地域の自律的な意思に基づく政策形成を行う。住民参加は、分権と住民自治の決定により地方自治の確立を重視する。同時に、地域の実態に合った事業実施主体の形成を図る。ページ318
食料安全保障の確立のためには、農林漁業を維持。・振興させる国庫補助金による支援などの国家の介入も必要といえる。農業の市場競争化と小さな政府論の原理的適用は、農林漁業では避けなければならない。ページ324

蓄電池ビジネスの未来

「2時間でわかる蓄電池ビジネスの未来」を読みました。エネルギー問題の解決には蓄電池が重要なかかわりを持っています。この本で、蓄電池の意味と開発状況を確認しました。新しい電池への製品化と低価格化がすぐそこまできているとの印象を得ました。
数年前から電力会社の電力買い取り価格が大幅に下落しています。太陽光発電で作った電気を売っても減価償却すらできなくなるかもしれません。
太陽光発電では1kwhを8円で創れます。電力会社はこれを11円で買ってくれますが、私たちは普通電気を28円で買っています。どう考えても、「売る」より、自分で「使う」方が得です。しかし太陽光は夜間発電できないので蓄電設備が必要です。でも蓄電設備は非常に高価格です。この悩ましい現状を打破することで、原子力化石燃料から、自然エネルギーへの変換が可能になります。蓄電技術の早急の発展を期待しています。備忘します。

ワイヤレス充電は、蓄電池と電力エネルギービジネスにおいて、今後重要なキーワードになっていくはずです。ページ26
蓄電池のタイプや性能がそれぞれ異なるため、大きく「電力系統用」、需要側定置用」「次世代自動車用」の3種類に分類して市場をとらえることが重要となります。ページ28
注目すべきはEVです。蓄電池ビジネス発展のカギはEVが握っていると言っても過言ではありません。
ここで注目されるのが、EVに蓄えた電力を家庭で利用するシステム「V2H」(Vehicle to Home)です。この「V2H」も蓄電池ビジネスにおける重要なキーワードとなります。ページ42
さらに近年、昼間に太陽光発電で生み出した電力を、夜間にEVに充電でりるようなシステムも出てきています。自宅に太陽光発電システムを備えていれば、「V2H」を太陽光発電と組み合わせることで、電力の自給自足が可能になるのです。ページ52
加えて、補助金申請の仕組みや申請の方法等についても調べておく必要があります。経産省国土交通省が「充電設備設置にあたってのガイドブック」をインターネット上に公開していますのでそちらを参考にすることをお勧めします。ページ57
スマートハウスでは、太陽光発電で電気を作り、HEMSと呼ばれるシステムで電気を管理しながら、効率的に電気を使うことができます。したがってスマートハウスは、太陽光発電システムや蓄電池などのエネルギー機器、家電、住宅機器などをコントロールしてエネルギーマネジメントを行い、CO2の削減を実現した省エネ住宅ともいえます。ページ79
今後太陽光発電は「売る」よりも自分たちで「使う」方が得になると言われています。ページ82
まずIoTと蓄電池をつなげることによって、蓄電池の制御が可能になります。さらに蓄電池と地域に散在する複数の発電・蓄電設備を束ねてIoTで制御し、1つの発電所のような機能を持たせることで電力網の需給バランスの最適化ができます。ページ132
今後こうしたロボットが普及していけば、ロボット市場をさらに拡大するとみられ、それに伴い蓄電池のニーズもますます高まっていくでしょう。ページ140
これからは自分たちで電気を作って自分たちで使って、さらにシェアする、ということが当たり前になると思います。太陽光発電風力発電などのエネルギー効率がもう少し上がって、蓄電池の性能がもう少し上がれば実現してしまうことなのです。ページ152
過去にIT革命が起こったように、エネルギー分野でも革命が起こっている。すなわちET(エネルギーテクノロジー)革命です。ETにおいてリチウムイオン電池は重要な貢献をすることになる。IT革命において3種の神器の1つであった二次電池は、ET革命においても重要な役割を果たす。ページ158

複眼で見よ

「複眼で見よ」を読みました。古本やで本田靖春の名前が気に掛かり購入しました。代表作「不当逮捕」か「誘拐」の記憶かも知れません、昔の印象が甦りました。当時から卓越したドキュメンタリー作家だと思っていました。本書を読んでみて、取り上げているテーマ、朝日の珊瑚ねつ造事件やリクルート事件など、テーマは古いのですが、その事件の解釈は今も色あせていないと感じました。「複眼でみる」というよりは、「確かな視座でみる」と訴えていると思います。中心がずれては意見は表明できません、むつ小川原や立川基地の記事を読んでみて、左でもなく、右でもない著者の正義と論理をとてもく心地よく読めました。今でいうと辛坊治郎さんみたいな方です。備忘します。

複眼で見よ (河出文庫)

複眼で見よ (河出文庫)

  • 作者:本田靖春
  • 発売日: 2019/10/05
  • メディア: 文庫

…私は大宅壮一氏をジャーナリストの先達として、ひそかに尊敬するようになった。それこそだれにも庇護を受けない、一匹狼である。それでいて、歯にキヌきせず物を言うのは、できそうに見えて簡単なことではない。ページ77
本田宗一郎のインタビューを終えて)世の中の仕組みがどう変わっても、基本は物をつくることにある。ならばその仕事にたずさわる人たちが、まず優遇されてしかるべきではないのか。そういう人たちをさておいて、銀行マンや証券マンがときめくのは、ちょっと筋が違うのではないか。ページ101
商品棚が多品種で彩られているのは一見豊かそうだが、そのうらには人間として低く遇されている人たちがいる。その人たちがおとなしいおかげで、会社も国も保っているのだけれども。ページ180
…競馬の「絶対」はない…私の内側で「必敗の信念」はいよいよ強固になるばかりsである。ページ196
自衛隊員の多くは、それでなくても差別を受けやすい立場からいまの職業を選んだ。彼らに対する地方自治体をあげての差別が、誰の名において許されるのか、はっきり答えてもらいたい。ページ230