絵と言葉の一研究

「絵と言葉の一研究」を読みました。JTの「喫煙マナーキャンペーン」のイラストレーター、寄藤文平氏の著作です。絵を見れば、見たことがある人がほとんどでしょう。内容は「軽くて深い」と思います。私には「分からないこと」が多い本です。ただ、ブックレビューは秀逸で、「日本の弓術」「共在感覚」「世界をこんなふうに見てごらん」を購入することにしました。備忘します。

絵と言葉の一研究 「わかりやすい」デザインを考える

絵と言葉の一研究 「わかりやすい」デザインを考える

…「空」はいつでも存在しているのに、「悲しげな空」は誰かが見つけないと現れないのに似ている。「空」がデータ、「悲しげな空」がインフォメーションだと考えるとわかりやすい。インフォメーションは誰かが創らないと生まれない。(p.14)
…僕はデザインの本を読むのをやめて、経済の本を集中的に読んだ。…どの本も、たったひとつのことしか言っていないように思った。「人の役に立たなければ、金はもらえない」タッチがすぐに消費されてしまうのは、人の役に立っていないからだ。…本当に必要な者は消費されたりしない。(p.50)
人間は「幻想の自分」と「現実の自分」に分かれている。自己保存本能が「幻想の自分」に向かうと「ナルシズム」となり、「現実の自分」に向かうと「エゴイズム」になる。この二つは根本的に対決していて、人間はその間で葛藤するしかない…(p.169)
オープンソースは…新しく生み出すクリエイティブというより、丁寧に育てるクリエイティブ。一番大切なのは主催者の「人間的な魅力」と書かれている。(p.177)
たぶん、「わかりやすく伝える」ことの中には、「その素晴らしさを伝えたい」という気持ちが含まれている気がする。なにかを「わかる」というのも、別の言葉で言えば、なにかを「好きになる」っていう話なのだろう。(p.195)