褥瘡ガイドブック

「褥瘡ガイドブック」「在宅褥瘡予防・治療ガイドブック」を通読しました。褥瘡全般の最新知識を得るための読書です。仕事です。読んでみての興味深い情報と私の意見を述べます。
・「床ずれ博士の在宅介護」出版から5年後(2014年)の状況であるが、介護保険を含む法整備がすすんできていることを知った。体圧分散マットの普及は急速であり、各社の開発は、かなりすすんでいます。
・本書推奨のマットレス一覧に「メディマット」が記載されていないのは残念です。大手は、パラマウントフランスベッド、モルテン、ケープなどであることを知りました。
・褥瘡予防、治療の観点からのマットレスを説明しているので体圧分散に偏っています。「蒸れ」や「漏れ」、細菌・ウイルスブロックの観点の説明は少ないと感じました。当該商品(メディマット)の差別化の余地は大いにありと感じました。
・他社の開発はベッドに集中しているので、車イスの方が、差別化の余地あるかもしれません。
介護施設、在宅でのベッドマット販売は、ケアマネージャーや介護用品業者との強い連携が必要だと思います。
・高齢者向けより、パラスポーツ競技者など活動的な車イス利用者をターゲットにしたほうが差別化できるかもしれません。ニーズに合致した新商品を開発する必要があると思います。備忘します。

【褥瘡ガイドブック】 
褥瘡有病率は、病院0.46〜2.20%、介護保険施設0.89〜1.27 %、介護訪問介護ステーションは2.61 %であった。施設別褥瘡推定発生率は、0.36〜 1.89 %、介護保険施設0.62 〜 0.81 %、訪問介護ステーション2.08 %であった。ページ8
サポートサーフェイスとは組織への外圧を管理するための圧力分配、寝床内環境調整、その他の機能を特別に設計された用具である。本書では座位時に使用するクッションまたは臥位時に使用するベッド、マットレスを対象に記した。ページ159
Q:褥瘡発生率を低下させるために体圧分散マットレスを使用することを強く勧める。
A:体圧分散マットレスの効果について、システマティックレビューやmeta analysisの複数の研究があり、標準のマットレスに比べて体圧分散マットレスの方が褥瘡発生率は有意に低かったと報告される。我が国では体圧分散マットレスの整備をはじめとする、褥瘡対策の体制を整えることが入院基本料の算定要件にも組まれている。体圧分散マットレスの購入時には費用がかかるが、体圧分散マットレスを整備することにより褥瘡発生率の低下と経済効果が得られたという報告もある。ページ172
Q:高齢者にどのような体圧分散マットレスを使用すると褥瘡予防に有効か?
A:二層式エアマットレスを使用するようにすめられる。圧切替型エアマットレス、上敷静止型エアマットレス、フォームマットレスを使用しても良い。ページ174
Q:脊髄損傷者の褥瘡予防にはどのような方法が有効か?
A*接触圧を確認しながら指導しても良い。「圧力分布測定装置FSA(タカノ株式会社)ページ191
Q:高齢者の座位における褥瘡予防においてはどのようなクッションを用いるのが良いか?
A:高齢者には脊髄損傷者に使用される体圧分す体圧分散クッションを使用することが勧められる。
A:ダイナミック型クッションの使用を検討しても良い。ページ192

【在宅褥瘡予防・治療ガイドブック】
2010年と2013年を比較すると、有病率は5.45パーセントから2.61パーセント推定発生率は4.40パーセントから2.08パーセントに減少した。病院の有病率、介護保険施設の有病率と比較すると高いが改善は著しい。
 この3年間で褥瘡の有病率と褥瘡推定発生率が著しく減少していることがわかる。これは体圧分散をはじめとする褥瘡ケアが在宅において適切に行われるようになってきた状況をうかがわせる。特に在宅において体圧分散マットレスを使用していない場合は、前回7.1パーセントであったのが、今回は1.2パーセントと減少している。(序章)
体圧分散マットレスとは、①体を沈める、②骨突出部等にフィットする機能によってマットレスと身体の接触面積を拡大させることができる寝具である。また、圧が加わる部位を周期的に変化させる機能を持つ寝具(圧切替エアマットレス)もある。体圧分散マットレスを使用することで骨突出部位に加わる圧力の大きさを減少させる。また圧切替マットレスを使用することで1カ所に加わる圧の持続時間を少なくできる。ページ57
体圧分散マットレスを使用する際には、在宅療養者の身体状況にあった選択と圧の管理が重要である。体圧分散マットレスならどれでも効果同じではなく、選択・管理方法が不適切であると褥瘡発生、悪化させる場合がある。適切な体圧分散マットレスを選択するためには、医師、看護師、理学療法士、在宅療養者、家族などのアセスメントが反映されるようにケアマネジャーはそれぞれの意見を収集、調整する必要がある。エアマットレスのモーター音が家族の安眠を妨げる場合があるので配慮が必要である。ページ58
体圧分散マットレス使用時に蒸れを訴える場合、吸水性・熱放散性が高いマットが市販されていることを家族やヘルパーに情報提供することも必要である。失禁汚染対策としてデスポシーツや防水シーツを組み合わせることがあるが、発汗しやすい状況となる。この点を家族に説明し防水シーツの常時使用を避ける。ページ73
レンタル対象となる福祉用具は、車いす車いす付属品、特殊寝台・特殊寝台付属品・床ずれ防止用具・体位変換器・手すり・スロープ・歩行器・歩行補助杖・認知症老人徘徊感知機器、移動用リフトの十二種類である。 利用にあたっては、ケアマネジャー又は福祉用具に関して専門的知識を持つ事業所の専門相談員と十分相談する必要がある。
 福祉用具を貸与できるのは、要介護認定を受けている人である。要支援1〜2、要介護1の人には原則として、車いす車いす付属品、特殊寝台、特殊寝台付属品、床ずれ予防用具、認知症老人徘徊感知器、移動用リフトの対応はない。ケアマネジャーが立案したケアプランは福祉用具貸与業者に提出される。福祉 用具貸与事業所は利用者に商品貸与を行い、定期的に利用状況の確認を実施し、その結果を定期的にケアマネージャーに報告する。ページ175