影響力の武器 実践編

「影響力の武器 実践編」を読みました。副題は「イエスを引き出す50の秘訣」です。名著「影響力の武器(第3版)」「影響力の武器 戦略編」に続く読書です。噛み砕いて、実践しやすい「説得の技術」を解説しています。重複する部分は多いのですが、繰り返しにより頭に入りやすくなりました。米国や西欧の個人主義の社会と中国や東欧などの集団主義の国では説得の方法に違いがあることを学びました。注目すべき知見です。フランクリンの「人に施すより施される方が味方をつくりやすい」という指摘は卓見です。ヒトの持っている「返報性の原則が、多分、今、地球上で人類が君臨している理由だと合点がいきました。さらに、この技術を使うには倫理をわきまえることが重要だという著者の注意もよくわかりました。備忘します。

…あまりに選択肢が多すぎると消費者にとってそれぞれを差別化することが負担となり、決断を下すのがわずらわしくなってしまうからです。逆は、選ぶ面倒を避けようとして商品全体に対する購買意欲も関心もなくしてしまいます。ページ21
…依頼をするときに手書きの一言を記した付箋を活用すれば、得をするのは3M社ばかりではないと言うことです。ページ45
要するに、同僚、顧客生徒、知り合いなど誰かに協力を促すためには、まずこちらが本当に完全に無条件で手助けを申し出なくてはならないということです。ページ53
人は、加齢とともに一貫性に対するこだわりが強くなっていくことが明らかになりました。これは、一貫性の欠如は気持ちを動揺させるものであり、高齢者は動揺を引き起こすような出来事を避けようとする傾向が大変強いためと考えられます。ページ76
…あなたが恩を施してあげた人よりも、あなたに恩を施してくれた人の方が、頼みを聞いてくれるものだ。ページ79
こうした研究結果からは、ビジネスにおいて競争入札を通じて品物やサービスを提供する場合、最終的な売価を上げるには、入札をかなり低めから始めるべきだということがわかります。ページ88
ここでの教訓は、説得したい相手には自分の卒業証書や免許証、賞状などを見せるべしと言うことです。せっかく苦労してそうした賞状を得たのですから、出してください。ページ93
謙虚なリーダーも悪くありません。役員室や病院やコックピットのドアを開ける前に、自分のうぬぼれを戒めてください。ページ102
要するに、あなたが誰かに、自分のグループの決定に対して「イエス」と言ってもらいたいなら、まずは自分のグループのうちの誰かに「ノー」と言ってもらう必要があるのです。ページ106
これらのことから読み取れるリーダーにとってのそれは、意見に対して同僚や部下が安心して反対意見を言えるような職場環境を作り、その状況を維持することです。ページ109
…失敗の原因を組織の内部に求める事は、一般的なイメージだけでなく収益の点から見ても有利に働きます。内部の制御可能なミスが原因だとすることで、その組織はそれ自体の資源と将来設計をしっかり掌握しているように見えるためです。また、その組織は問題の原因となった点を改善するだろうと予測されるためでもあります。ページ121
万一技術的な障害のせいで起きた問題や遅延について発表するという厄介な立場に立たされた場合は、影響を被る人たちにできるだけ早くその情報提供してください。それによって2つの効果が期待できます。まず、人々に対して自分は役立つ人間で、情報を豊富に持ち、彼らの味方であると言う点を示せること。そして第二に、自分には問題の原因が掌握できるとはっきり伝えられることです。ページ126
…人の真似をするのは最大級のおべっかだと思言われます。真似をすると言う事は説得のテクニックとしては基本中の基本なのです。ページ140
自分しか知らない情報を伝える際に、それは独占的な情報だと言うことを伝えないと、人に影響与える格好のチャンスを逃してしまいます。ページ150
以上の点から、人に何かを頼むときには、たとえ自分にはその理由が明白に思われても、必ず強力な根拠を示すべきだということがわかります。ページ161
誰かに目標達成させたいのであれば、そのゴールに向かって既にどれだけ進んだかという証拠を示してあげれば良いのです。この方法を使えば、洗車したての車のようにあなたの影響力は輝くはずです。ページ184
… Eメールを使った交渉の場合、通常は親しい関係づくりに役立つ個人的な情報の交換を、交渉人同士で行う率が低いため結局は交渉も不調に終わり終わりやすいことがわかりました。…要するに、交渉相手同士が個人的な側面について知り合う時間を取ることによって、双方で分け合う場合を大きくすることができるわけです。ページ215
女性は対面だと説得されやすく、男性はコミニケーション手段による違いはありませんでした。ページ216
潜在顧客に競合他社の提示価格の情報提供する企業は、たまには敗れることもあるとはいえ、価格競争勝ち抜ける体制にあるのは明らかです。ページ224
言い換えれば、ウェブサイトの背景を慎重に選ぶことによって、商品の長所を、そしておそらくは企業自体の長所も、前面に押し出すことができるのです。ページ226